Ruby 1.8.7 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > 組み込みライブラリ > Objectクラス
クラスの継承リスト: Object < Kernel
全てのクラスのスーパークラス。 オブジェクトの一般的な振舞いを定義します。
このクラスのメソッドは上書きしたり未定義にしない限り、すべてのオブジェクトで使用することができます。
new -> Object
[permalink][rdoc]Objectクラスのインスタンスを生成して返します。
some = Object.new p some #=> #<Object:0x2b696d8>
self == other -> bool
[permalink][rdoc]オブジェクトと other が等しければ真を返します。
このメソッドは各クラスの性質に合わせて再定義すべきです。 多くの場合、オブジェクトの内容が等しければ真を返すように (同値性を判定するように)再定義されることが期待されています。
デフォルトでは equal? と同じオブジェクト の同一性判定になっています。
p("foo" == "bar") #=> false p("foo" == "foo") #=> true p(4 == 4) #=> true p(4 == 4.0) #=> true
[SEE_ALSO] Object#equal?,Object#eql?
self === other -> bool
[permalink][rdoc]メソッド Object#== の別名です。 case 式で使用されます。このメソッドは case 式での振る舞いを考慮して、 各クラスの性質に合わせて再定義すべきです。
一般的に所属性のチェックを実現するため適宜再定義されます。
when 節の式をレシーバーとして === を呼び出すことに注意してください。
また Enumerable#grep でも使用されます。
age = 12 result = case age when 0 .. 2 "baby" when 3 .. 6 "little child" when 7 .. 12 "child" when 13 .. 18 "youth" else "adult" end puts result #=> "child" def check arg case arg when /ruby(?!\s*on\s*rails)/i "hit! #{arg}" when String "Instance of String class. But don't hit." else "unknown" end end puts check([]) #=> unknown puts check("mash-up in Ruby on Rails") #=> instance of String class. But not hit... puts check("<Ruby's world>") #=> hit! <Ruby's world>
[SEE_ALSO] Object#==, Range#===, Module#===, Enumerable#grep
self =~ other -> false
[permalink][rdoc]右辺に正規表現オブジェクトを置いた正規表現マッチ obj =~ /RE/ をサポートするためのメソッドです。 常に false を返します。
この定義により、=~ が再定義されたオブジェクトでは正常にマッチを行い、 それ以外のものは false を返すようになります。
obj = 'regexp' p(obj =~ /re/) #=> 0 obj = nil p(obj =~ /re/) #=> false
[SEE_ALSO] String#=~
__id__ -> Integer
[permalink][rdoc]object_id -> Integer
id -> Integer
各オブジェクトに対して一意な整数を返します。あるオブジェクトに対し てどのような整数が割り当てられるかは不定です。
Rubyでは、(Garbage Collectされていない)アクティブなオブジェクト間で 重複しない整数(object_id)が各オブジェクトにひとつずつ割り当てられています。この メソッドはその値を返します。
TrueClass, FalseClass, NilClass, Symbol, Fixnum クラス のインスタンスなど Immutable(変更不可)なオブジェクトの一部は同じ内容ならば必ず同じ object_id になります。
これは、Immutable ならば複数の場所から参照されても`破壊的操作'による問題が発生しないので、 同じ内容のインスタンスを複数生成しないという内部実装が理由です。
Symbol#to_iで得られる整数と object_id は別物です。
id メソッドの再定義に備えて別名 __id__ が用意されて おり、ライブラリでは後者の利用が推奨されます。また __id__ を 再定義すべきではありません。
id は obsolete なので、object_id か __id__ を使用してください。
p "ruby".object_id #=> 22759500 p "ruby".object_id #=> 22759400 p [].object_id #=> 22759360 p [].object_id #=> 22759340 p :ruby.object_id #=> 103538 p :ruby.object_id #=> 103538 p 11.object_id #=> 23 p 11.object_id #=> 23 p true.object_id #=> 2 p true.object_id #=> 2
[SEE_ALSO] Object#equal?,Symbol
send(name, *args) -> object
[permalink][rdoc]send(name, *args) { .... } -> object
__send__(name, *args) -> object
__send__(name, *args) { .... } -> object
オブジェクトのメソッド name を args を引数に して呼び出し、メソッドの実行結果を返します。
ブロック付きで呼ばれたときはブロックもそのまま引き渡します。
send が再定義された場合に備えて別名 __send__ も 用意されており、ライブラリではこちらを使うべきです。また __send__ は再定義すべきではありません。
send, __send__ は、メソッドの呼び出し制限 にかかわらず任意のメソッドを呼び出せます。 クラス/メソッドの定義/呼び出し制限 も参照してください。
p -365.send(:abs) #=> 365 p "ruby".send(:sub,/./,"R") #=> "Ruby" class Foo def foo() "foo" end def bar() "bar" end def baz() "baz" end end # 任意のキーとメソッド(の名前)の関係をハッシュに保持しておく # レシーバの情報がここにはないことに注意 methods = {1 => :foo, 2 => :bar, 3 => :baz} # キーを使って関連するメソッドを呼び出す # レシーバは任意(Foo クラスのインスタンスである必要もない) p Foo.new.send(methods[1]) # => "foo" p Foo.new.send(methods[2]) # => "bar" p Foo.new.send(methods[3]) # => "baz"
[SEE_ALSO] Object#method, Kernel.#eval, Proc, Method
_dump(limit) -> String
[permalink][rdoc]Marshal.#dump において出力するオブジェクトがメソッド _dump を定義している場合には、そのメソッドの結果が書き出されます。
バージョン1.8.0以降ではObject#marshal_dump, Object#marshal_loadの使用 が推奨されます。 Marshal.dump するオブジェクトが _dump と marshal_dump の両方の メソッドを持つ場合は marshal_dump が優先されます。
メソッド _dump は引数として再帰を制限するレベル limit を受 け取り、オブジェクトを文字列化したものを返します。
インスタンスがメソッド _dump を持つクラスは必ず同じフォー マットを読み戻すクラスメソッド _load を定義する必要があり ます。_load はオブジェクトを表現した文字列を受け取り、それ をオブジェクトに戻したものを返す必要があります。
class Foo def initialize(arg) @foo = arg end def _dump(limit) Marshal.dump(@foo, limit) end def self._load(obj) p obj Foo.new(Marshal.load(obj)) end end foo = Foo.new(['foo', 'bar']) p foo #=> #<Foo:0xbaf234 @foo=["foo", "bar"]> dms = Marshal.dump(foo) p dms #=> "\004\bu:\bFoo\023\004\b[\a\"\bfoo\"\bbar" result = Marshal.load(dms) #=> "\004\b[\a\"\bfoo\"\bbar" # self._load の引数 p result #=> #<Foo:0xbaf07c @foo=["foo", "bar"]>
インスタンス変数の情報は普通マーシャルデータに含まれるので、上例 のように _dump を定義する必要はありません(ただし _dump を定義すると インスタンス変数の情報は dump されなくなります)。 _dump/_load はより高度な制御を行いたい場合や拡張ライブラリで定義し たクラスのインスタンスがインスタンス変数以外に情報を保持する場合に 利用します。(例えば、クラス Time は、_dump/_load を定義して います)
[SEE_ALSO] Object#marshal_dump, Object#marshal_load, Class#_load
class -> Class
[permalink][rdoc]type -> Class
レシーバのクラスを返します。
p "ruby".class #=> String p 999999999999999.class #=> Bignum p ARGV.class #=> Array p self.class #=> Object p Class.class #=> Class p Kernel.class #=> Module
[SEE_ALSO] Class#superclass,Object#kind_of?,Object#instance_of?
clone -> object
[permalink][rdoc]dup -> object
オブジェクトの複製を作成して返します。
dup はオブジェクトの内容, taint 情報をコピーし、 clone はそれに加えて freeze, 特異メソッドなどの情報も含めた完全な複製を作成します。
clone や dup は浅い(shallow)コピーであることに注意してください。後述。
obj = "string" obj.taint def obj.fuga end obj.freeze p(obj.equal?(obj)) #=> true p(obj == obj) #=> true p(obj.tainted?) #=> true p(obj.frozen?) #=> true p(obj.respond_to?(:fuga)) #=> true obj_c = obj.clone p(obj.equal?(obj_c)) #=> false p(obj == obj_c) #=> true p(obj_c.tainted?) #=> true p(obj_c.frozen?) #=> true p(obj_c.respond_to?(:fuga)) #=> true obj_d = obj.dup p(obj.equal?(obj_d)) #=> false p(obj == obj_d) #=> true p(obj_d.tainted?) #=> true p(obj_d.frozen?) #=> false p(obj_d.respond_to?(:fuga)) #=> false
[SEE_ALSO] Object#initialize_copy
clone や dup はオブジェクト自身を複製するだけで、オブジェクトの指し ている先(たとえば配列の要素など)までは複製しません。これを浅いコピー(shallow copy)といいます。
深い(deep)コピーが必要な場合には、 Marshalモジュールを利用して
Marshal.load(Marshal.dump(obj))
このように複製を作成する方法があります。ただしMarshal出来ないオブジェクトが 含まれている場合には使えません。
obj = ["a","b","c"] obj_d = obj.dup obj_d[0] << "PLUS" p obj #=> ["aPLUS", "b", "c"] p obj_d #=> ["aPLUS", "b", "c"] obj_m = Marshal.load(Marshal.dump(obj)) obj_m[1] << "PLUS" p obj #=> ["aPLUS", "b", "c"] p obj_m #=> ["aPLUS", "bPLUS", "c"]
display(out = $stdout) -> nil
[permalink][rdoc]オブジェクトを out に出力します。
以下のように定義されています。
class Object def display(out = $stdout) out.print self.to_s nil end end
Object.new.display #=> #<Object:0xbb0210>
[SEE_ALSO] $stdout
to_enum(method = :each, *args) -> Enumerable::Enumerator
[permalink][rdoc]enum_for(method = :each, *args) -> Enumerable::Enumerator
Enumerable::Enumerator.new(self, method, *args) を返します。
str = "xyz" enum = str.enum_for(:each_byte) p(a = enum.map{|b| '%02x' % b }) #=> ["78", "79", "7a"] # protects an array from being modified a = [1, 2, 3] p(a.to_enum) #=> #<Enumerable::Enumerator:0xbaf7ac>
[SEE_ALSO] Enumerable::Enumerator
eql?(other) -> bool
[permalink][rdoc]オブジェクトと other が等しければ真を返します。Hash で二つのキー が等しいかどうかを判定するのに使われます。
このメソッドは各クラスの性質に合わせて再定義すべきです。 多くの場合、 == と同様に同値性の判定をするように再定義されていますが、 適切にキー判定ができるようにより厳しくなっている場合もあります。
デフォルトでは equal? と同じオブジェクト の同一性判定になっています。
このメソッドを再定義した時には Object#hash メソッ ドも再定義しなければなりません。
p("foo".eql?("bar")) #=> false p("foo".eql?("foo")) #=> true p(4.eql?(4)) #=> true p(4.eql?(4.0)) #=> false
[SEE_ALSO] Object#hash,Object#equal?,Object#==
equal?(other) -> bool
[permalink][rdoc]other が self 自身の時、真を返します。
二つのオブジェクトが同一のものかどうか調べる時に使用します。 このメソッドを再定義してはいけません。
お互いのObject#object_idが一致する かどうかを調べます。
p("foo".equal?("bar")) #=> false p("foo".equal?("foo")) #=> false p(4.equal?(4)) #=> true p(4.equal?(4.0)) #=> false p(:foo.equal? :foo) #=> true
[SEE_ALSO] Object#object_id,Object#==,Object#eql?,Symbol
extend(*modules) -> self
[permalink][rdoc]引数で指定したモジュールのインスタンスメソッドを self の特異 メソッドとして追加します。
Module#include は、クラス(のインスタンス)に機能を追加します が、extend は、ある特定のオブジェクトだけにモジュールの機能を追加 したいときに使用します。
引数に複数のモジュールを指定した場合、最後 の引数から逆順に extend を行います。
module Foo def a 'ok Foo' end end module Bar def b 'ok Bar' end end obj = Object.new obj.extend Foo, Bar p obj.a #=> "ok Foo" p obj.b #=> "ok Bar" class Klass include Foo extend Bar end p Klass.new.a #=> "ok Foo" p Klass.b #=> "ok Bar"
extend の機能は、「特異クラスに対する Module#include」 と言い替えることもできます。 ただしその場合、フック用のメソッド が Module#extended ではなく Module#included になるという違いがあります。
# obj.extend Foo, Bar とほぼ同じ class << obj include Foo, Bar end
[SEE_ALSO] Module#extend_object,Module#include,Module#extended
freeze -> self
[permalink][rdoc]オブジェクトを凍結(内容の変更を禁止)します。
凍結されたオブジェクトの変更は 例外 TypeError を発生させます。 いったん凍結されたオブジェクトを元に戻す方法はありません。
凍結されるのはオブジェクトであり、変数ではありません。代入などで変数の指す オブジェクトが変化してしまうことは freeze では防げません。 freeze が防ぐのは、 `破壊的な操作' と呼ばれるもの一般です。変数への参照自体を凍結したい 場合は、グローバル変数なら Kernel.#trace_var が使えます。
a1 = "foo".freeze a1 = "bar" p a1 #=> "bar" a2 = "foo".freeze a2.replace("bar")# can't modify frozen string (TypeError)
凍結を解除することはできませんが、Object#dup を使えばほぼ同じ内容の凍結されていない オブジェクトを得ることはできます。
a = [1].freeze p a.frozen? #=> true a[0] = "foo" p a # can't modify frozen array (TypeError) b = a.dup p b #=> [1] p b.frozen? #=> false b[0] = "foo" p b #=> ["foo"]
[SEE_ALSO] Object#frozen?,Object#dup,Kernel.#trace_var
frozen? -> bool
[permalink][rdoc]オブジェクトが凍結(内容の変更を禁止)されているときに真を返します。
obj = "someone" p obj.frozen? #=> false obj.freeze p obj.frozen? #=> true
[SEE_ALSO] Object#freeze
hash -> Fixnum
[permalink][rdoc]オブジェクトのハッシュ値を返します。Hash クラスでオブジェク トを格納するのに用いられています。
メソッド hash は Object#eql? と組み合わせて Hash クラスで利用されます。その際
A.eql?(B) ならば A.hash == B.hash
の関係を必ず満たしていなければいけません。eql? を再定義した時には必ずこちらも合わせ て再定義してください。
デフォルトでは、Object#object_id と同じ値を返します。 ただし、Fixnum, Symbol, String だけは組込みのハッ シュ関数が使用されます(これを変えることはできません)。
hash を再定義する場合は、一様に分布する任意の整数を返すようにします。
p self.hash #=> 21658870 p 0.hash #=> 1 p 0.0.hash #=> 0 p nil.hash #=> 4 p "ruby".hash #=> -241670986 p "ruby".hash #=> -241670986 p :ruby.hash #=> 103538 p :ruby.hash #=> 103538
[SEE_ALSO] Object#eql?,Object#__id__
inspect -> String
[permalink][rdoc]オブジェクトを人間が読める形式に変換した文字列を返します。
組み込み関数 Kernel.#p は、このメソッドの結果を使用して オブジェクトを表示します。
[ 1, 2, 3..4, 'five' ].inspect # => "[1, 2, 3..4, \"five\"]" Time.new.inspect # => "2008-03-08 19:43:39 +0900"
inspect メソッドをオーバーライドしなかった場合、クラス名とインスタンス 変数の名前、値の組を元にした文字列を返します。
class Foo end Foo.new.inspect # => "#<Foo:0x0300c868>" class Bar def initialize @bar = 1 end end Bar.new.inspect # => "#<Bar:0x0300c868 @bar=1>"
また、to_s メソッドをオーバーライドしていた場合は to_s メソッドの実行結 果を返します。(ただし、2.0 で to_s メソッドは実行されなくなった点に注意 してください)
class Baz def to_s "baz" end end Baz.new.inspect # => "baz"
[SEE_ALSO] Kernel.#p
instance_eval(expr, filename = "(eval)", lineno = 1) -> object
[permalink][rdoc]instance_eval {|obj| ... } -> object
オブジェクトのコンテキストで文字列 expr またはオブジェクト自身をブロックパラメータとするブロックを 評価してその結果を返します。
オブジェクトのコンテキストで評価するとは評価中の self をそのオブジェクトにして実行するということです。 また、文字列 expr やブロック中でメソッドを定義すればそのオブジェクトの特異メソッドが定義されます。
ただし、ローカル変数だけは、文字列 expr の評価では instance_eval の外側のスコープと、ブロックの評価ではそのブロックの外側のスコープと、共有します。
メソッド定義の中で instance_eval でメソッドを定義した場合は、囲むメソッドが実行されたときに 初めて instance_eval 内のメソッドが定義されます。これはメソッド定義のネストと同じです。 クラス/メソッドの定義/メソッド定義のネスト を参照してください。
例:
class Foo def initialize data @key = data end private def do_fuga p 'secret' end end some = Foo.new 'XXX' some.instance_eval{p @key} #=> "XXX" some.instance_eval{do_fuga } #=> "secret" # private メソッドも呼び出せる some.instance_eval 'raise' # ..:10: (eval):1: (RuntimeError) messg = 'unknown' some.instance_eval 'raise messg','file.rb',999 # file.rb:999: unknown (RuntimeError)
[SEE_ALSO] Module#module_eval, Kernel.#eval
instance_exec(*args) {|*vars| ... } -> object
[permalink][rdoc]与えられたブロックをレシーバのコンテキストで実行します。
ブロック実行中は、 self がレシーバのコンテキストになるので レシーバの持つインスタンス変数にアクセスすることができます。
class KlassWithSecret def initialize @secret = 99 end end k = KlassWithSecret.new # 以下で x には 5 が渡される k.instance_exec(5) {|x| @secret + x } #=> 104
[SEE_ALSO] Module#class_exec, Module#module_exec, Object#instance_eval
instance_of?(klass) -> bool
[permalink][rdoc]オブジェクトがクラス klass の直接のインスタンスである時真を返します。
obj.instance_of?(c) が成立する時には、常に obj.kind_of?(c) も成立します。
class C < Object end class S < C end obj = S.new p obj.instance_of?(S) # true p obj.instance_of?(C) # false
[SEE_ALSO] Object#kind_of?,Object#class
instance_variable_defined?(var) -> bool
[permalink][rdoc]インスタンス変数 var が定義されていたら真を返します。
class Fred def initialize(p1, p2) @a, @b = p1, p2 end end fred = Fred.new('cat', 99) p fred.instance_variable_defined?(:@a) #=> true p fred.instance_variable_defined?("@b") #=> true p fred.instance_variable_defined?("@c") #=> false
[SEE_ALSO] Object#instance_variable_get,Object#instance_variable_set,Object#instance_variables
instance_variable_get(var) -> object | nil
[permalink][rdoc]オブジェクトのインスタンス変数の値を取得して返します。
インスタンス変数が定義されていなければ nil を返します。
class Foo def initialize @foo = 1 end end obj = Foo.new p obj.instance_variable_get("@foo") #=> 1 p obj.instance_variable_get(:@foo) #=> 1 p obj.instance_variable_get(:@bar) #=> nil
[SEE_ALSO] Object#instance_variable_set,Object#instance_variables,Object#instance_variable_defined?
instance_variable_set(var, value) -> object
[permalink][rdoc]オブジェクトのインスタンス変数 var に値 value を設定します。
インスタンス変数が定義されていなければ新たに定義されます。
obj = Object.new p obj.instance_variable_set("@foo", 1) #=> 1 p obj.instance_variable_set(:@foo, 2) #=> 2 p obj.instance_variable_get(:@foo) #=> 2
[SEE_ALSO] Object#instance_variable_get,Object#instance_variables,Object#instance_variable_defined?
instance_variables -> [String]
[permalink][rdoc]オブジェクトのインスタンス変数名を文字列の配列として返します。
obj = Object.new obj.instance_eval { @foo, @bar = nil } p obj.instance_variables #=> ["@foo", "@bar"]
[SEE_ALSO] Object#instance_variable_get, Kernel.#local_variables, Kernel.#global_variables, Module.constants, Module#constants, Module#class_variables
is_a?(mod) -> bool
[permalink][rdoc]kind_of?(mod) -> bool
オブジェクトが指定されたクラス mod かそのサブクラスのインスタンスであるとき真を返します。
また、オブジェクトがモジュール mod をインクルードしたクラスかそのサブクラス のインスタンスである場合にも真を返します。 上記のいずれでもない場合に false を返します。
module M end class C < Object include M end class S < C end obj = S.new p obj.is_a?(S) # true p obj.is_a?(C) # true p obj.is_a?(Object) # true p obj.is_a?(M) # true p obj.is_a?(Hash) # false
[SEE_ALSO] Object#instance_of?,Module#===,Object#class
marshal_dump -> object
[permalink][rdoc]Marshal.#dump を制御するメソッドです。
Marshal.dump(some) において、出力するオブジェクト some がメソッド marshal_dump を 持つ場合には、その返り値がダンプされたものが Marshal.dump(some) の返り値となります。
marshal_dump/marshal_load の仕組みは Ruby 1.8.0 から導入されました。 これから書くプログラムでは _dump/_load ではなく marshal_dump/marshal_load を使うべきです。
class Foo def initialize(arg) @foo = arg end def marshal_dump @foo end def marshal_load(obj) p obj @foo = obj end end foo = Foo.new(['foo', 'bar']) p foo #=> #<Foo:0xbaf3b0 @foo=["foo", "bar"]> dms = Marshal.dump(foo) p dms #=> "\004\bU:\bFoo[\a\"\bfoo\"\bbar" result = Marshal.load(dms) #=> ["foo", "bar"] # marshal_load の引数 p result #=> #<Foo:0xbaf2ac @foo=["foo", "bar"]>
インスタンス変数の情報は普通マーシャルデータに含まれるので、 上例のように marshal_dump を定義する必要はありません (ただし marshal_dump を定義するとインスタンス変数の情報は ダンプされなくなるので、marshal_dump/marshal_load で扱う必要があります)。 marshal_dump/marshal_load はより高度な制御を行いたい場合や 拡張ライブラリで定義したクラスのインスタンスがインスタンス変数以外 に情報を保持する場合に利用します。
特に、marshal_dump/marshal_load を定義したオブジェクトは 特異メソッドが定義されていてもマーシャルできるようになります (特異メソッドの情報が自動的に dump されるようになるわけではなく、 marshal_dump/marshal_load によりそれを実現する余地があるということです)。
[SEE_ALSO] Object#marshal_load, Marshal
marshal_load(obj) -> object
[permalink][rdoc]Marshal.#load を制御するメソッドです。
some のダンプ結果(Marshal.dump(some)) をロードする(Marshal.load(Marshal.dump(some)))に は some がメソッド marshal_load を持っていなければなりません。 このとき、marshal_dump の返り値が marshal_load の引数に利用されます。 marshal_load 時の self は、生成されたばかり(Class#allocate されたばかり) の状態です。
marshal_dump/marshal_load の仕組みは Ruby 1.8.0 から導入されました。 これから書くプログラムでは _dump/_load ではなく marshal_dump/marshal_load を使うべきです。
[SEE_ALSO] Object#marshal_dump, Marshal
method(name) -> Method
[permalink][rdoc]オブジェクトのメソッド name をオブジェクト化した Method オブジェクトを返します。
me = -365.method(:abs) p me #=> #<Method: Fixnum#abs> p me.call #=> 365
[SEE_ALSO] Module#instance_method, Method, Object#__send__, Kernel.#eval
method_missing(name, *args) -> object
[permalink][rdoc]呼びだされたメソッドが定義されていなかった時、Rubyインタプリタがこのメソッド を呼び出します。
呼び出しに失敗したメソッドの名前 (Symbol) が name に その時の引数が第二引数以降に渡されます。
デフォルトではこのメソッドは例外 NoMethodError を発生させます。
class Foo def initialize(data) @data = data end def method_missing(name, lang) if name.to_s =~ /\Afind_(\d+)_in\z/ if @data[lang] p @data[lang][$1.to_i] else raise "#{lang} unknown" end else super end end end dic = Foo.new({:English => %w(zero one two), :Esperanto => %w(nulo unu du)}) dic.find_2_in :Esperanto #=> "du"
methods(include_inherited = true) -> [String]
[permalink][rdoc]そのオブジェクトに対して呼び出せるメソッド名の一覧を返します。 このメソッドは public メソッドおよび protected メソッドの名前を返します。
ただし特別に、引数が偽の時は Object#singleton_methods(false) と同じになっています。
#例1: class Parent private; def private_parent() end protected; def protected_parent() end public; def public_parent() end end class Foo < Parent private; def private_foo() end protected; def protected_foo() end public; def public_foo() end end obj = Foo.new class <<obj private; def private_singleton() end protected; def protected_singleton() end public; def public_singleton() end end # あるオブジェクトの応答できるメソッドの一覧を得る。 p obj.methods(false) p obj.public_methods(false) p obj.private_methods(false) p obj.protected_methods(false) #実行結果 ["public_singleton", "protected_singleton"] ["public_foo", "public_singleton"] ["private_foo", "private_singleton"] ["protected_foo", "protected_singleton"] #例2: # あるオブジェクトの応答できるメソッドの一覧を得る。 # 自身のクラスの親クラスのインスタンスメソッドも含めるために true を指定して # いるが、Object のインスタンスメソッドは一覧から排除している。 p obj.methods(true) - Object.instance_methods(true) p obj.public_methods(true) - Object.public_instance_methods(true) p obj.private_methods(true) - Object.private_instance_methods(true) p obj.protected_methods(true) - Object.protected_instance_methods(true) #実行結果 ["public_foo", "public_parent", "protected_singleton", "public_singleton", "protected_foo", "protected_parent"] ["public_foo", "public_parent", "public_singleton"] ["private_singleton", "private_foo", "private_parent"] ["protected_singleton", "protected_foo", "protected_parent"]
[SEE_ALSO] Module#instance_methods,Object#singleton_methods
nil? -> bool
[permalink][rdoc]レシーバが nil であれば真を返します。
p false.nil? #=> false p nil.nil? #=> true
[SEE_ALSO] NilClass
private_methods(include_inherited = true) -> [String]
[permalink][rdoc]そのオブジェクトが理解できる private メソッド名の一覧を返します。
[SEE_ALSO] Module#private_instance_methods,Object#methods,Object#singleton_methods
protected_methods(include_inherited = true) -> [String]
[permalink][rdoc]そのオブジェクトが理解できる protected メソッド名の一覧を返します。
[SEE_ALSO] Module#protected_instance_methods,Object#methods,Object#singleton_methods
public_methods(include_inherited = true) -> [String]
[permalink][rdoc]そのオブジェクトが理解できる public メソッド名の一覧を返します。
[SEE_ALSO] Module#public_instance_methods,Object#methods,Object#singleton_methods
respond_to?(name, include_private = false) -> bool
[permalink][rdoc]オブジェクトがメソッド name を持つとき真を返します。
オブジェクトが メソッド name を持つというのは、 オブジェクトが メソッド name に応答することができることをいいます。
class F def hello "Bonjour" end end class D private def hello "Guten Tag" end end list = [F.new,D.new] list.each{|it| puts it.hello if it.respond_to?(:hello)} #=> Bonjour list.each{|it| it.instance_eval("puts hello if it.respond_to?(:hello, true)")} #=> Bonjour # Guten Tag module Template def main start template_method finish end def start puts "start" end def template_method raise NotImplementedError.new end def finish puts "finish" end end class ImplTemplateMethod include Template def template_method "implement template_method" end end class NotImplTemplateMethod include Template # not implement template_method end puts ImplTemplateMethod.new.respond_to?(:template_method) # => true # NotImplementedError が発生しているが、Rubyによる実装部のため true を返却 puts NotImplTemplateMethod.new.respond_to?(:template_method) # => true # GNU/Linux で実行。C言語による実装部のため false を返却 puts File.respond_to?(:lchmod) # => false
[SEE_ALSO] Module#method_defined?
singleton_methods(inherited_too = true) -> [String]
[permalink][rdoc]そのオブジェクトに対して定義されている特異メソッド名 (public あるいは protected メソッド) の一覧を返します。
inherited_too が真のときは継承した特異メソッドを含みます。 継承した特異メソッドとは Object#extend によって追加された特異メソッドや、 self がクラスの場合はスーパークラスのクラスメソッド(Classのインスタンスの特異メソッド)などです。
singleton_methods(false) は、Object#methods(false) と同じです。
#例1: Parent = Class.new class <<Parent private; def private_class_parent() end protected; def protected_class_parent() end public; def public_class_parent() end end Foo = Class.new(Parent) class <<Foo private; def private_class_foo() end protected; def protected_class_foo() end public; def public_class_foo() end end module Bar private; def private_bar() end protected; def protected_bar() end public; def public_bar() end end obj = Foo.new class <<obj include Bar private; def private_self() end protected; def protected_self() end public; def public_self() end end # あるオブジェクトの特異メソッドの一覧を得る。 p obj.singleton_methods(false) p obj.methods(false) p Foo.singleton_methods(false) #実行結果 ["public_self", "protected_self"] ["public_self", "protected_self"] ["public_class_foo", "protected_class_foo"] #例2: # あるオブジェクトの特異メソッドの一覧を得る。 # 親クラスのクラスメソッドも含まれるよう true を指定したが、 # Object のクラスメソッドは一覧から排除している。 p obj.singleton_methods(true) p Foo.singleton_methods(true) - Object.singleton_methods(true) #実行結果 ["public_bar", "public_self", "protected_bar", "protected_self"] ["public_class_foo", "public_class_parent", "protected_class_foo", "protected_class_parent"]
[SEE_ALSO] Object#methods,Object#extend
taint -> self
[permalink][rdoc]オブジェクトの「汚染マーク」をセットします。
環境変数(ENVで得られる文字列)など一部のオブジェクトは最初から汚染されています。 オブジェクトの汚染に関してはセキュリティモデルを参照してください。
$SAFE = 1 some = "puts '@&%&(#!'" p some.tainted? #=> false eval(some) #=> @&%&(#! some.taint p some.tainted? #=> true eval(some) # Insecure operation - eval (SecurityError) some.untaint p some.tainted? #=> false eval(some) #=> @&%&(#! p ENV['OS'].tainted? #=> true
[SEE_ALSO] Object#tainted?,Object#untaint,Object#freeze
tainted? -> bool
[permalink][rdoc]オブジェクトの「汚染マーク」がセットされている時真を返します。
オブジェクトの汚染に関してはセキュリティモデルを参照してください。
p String.new.tainted? #=> false p ENV['OS'].tainted? #=> true
[SEE_ALSO] Object#taint,Object#untaint
tap {|x| ... } -> self
[permalink][rdoc]self を引数としてブロックを評価し、self を返します。
メソッドチェインの途中で直ちに操作結果を表示するために メソッドチェインに "入り込む" ことが、このメソッドの主目的です。
(1..10) .tap {|x| puts "original: #{x.inspect}"}. to_a .tap {|x| puts "array: #{x.inspect}"}. select {|x| x % 2 == 0} .tap {|x| puts "evens: #{x.inspect}"}. map { |x| x * x } .tap {|x| puts "squares: #{x.inspect}"}
to_a -> Array
[permalink][rdoc]オブジェクトを配列に変換した結果を返します。
配列に変換できない(to_ary を持たない)オブジェクトは、自身のみを含む長さ 1 の配 列に変換されます。 このメソッドは、将来 Object のメソッドからは取り除かれます。 なので to_a を使用する場合、
などということが必要です。
p( {'a'=>1}.to_a ) # [["a", 1]] p ['array'].to_a # ["array"] p 1.to_a # [1] (warning: default `to_a' will be obsolete) p nil.to_a # []
[SEE_ALSO] Object#to_ary,Kernel.#Array
to_ary -> Array
[permalink][rdoc]オブジェクトの Array への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。
説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。
このメソッドを定義する条件は、
という厳しいものになっています。
class Foo def to_ary [3,4] end end it = Foo.new p([1,2] + it) #=> [1, 2, 3, 4]
[SEE_ALSO] Object#to_a,Kernel.#Array
to_hash -> Hash
[permalink][rdoc]オブジェクトの Hash への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。
説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。
このメソッドを定義する条件は、
という厳しいものになっています。
class Foo def to_hash {'as' => 24} end end it = Foo.new p({:as => 12}.merge(it)) #=> {"as"=>24, :as=>12}
to_int -> Integer
[permalink][rdoc]オブジェクトの Integer への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。
説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。
このメソッドを定義する条件は、
という厳しいものになっています。
class Foo def to_int 1 end end ary = [:a, :b, :c] p(ary[Foo.new]) # => :b
[SEE_ALSO] Kernel.#Integer
to_io -> IO
[permalink][rdoc]オブジェクトの IO への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。
説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。
このメソッドを定義する条件は、
という厳しいものになっています。
to_proc -> Proc
[permalink][rdoc]オブジェクトの Proc への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。
説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。
def doing yield end class Foo def to_proc Proc.new{p 'ok'} end end it = Foo.new doing(&it) #=> "ok"
to_regexp -> Regexp
[permalink][rdoc]オブジェクトの Regexp への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。
説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。
このメソッドを定義する条件は、
という厳しいものになっています。
class Foo def to_regexp /[\d]+/ end end it = Foo.new p Regexp.union(/^at/, it) #=> /(?-mix:^at)|(?-mix:[\d]+)/
to_s -> String
[permalink][rdoc]オブジェクトの文字列表現を返します。
Kernel.#print や Kernel.#sprintf は文字列以外の オブジェクトが引数に渡された場合このメソッドを使って文字列に変換し ます。
class Foo def initialize num @num = num end end it = Foo.new(40) puts it #=> #<Foo:0x2b69110> class Foo def to_s "Class:Foo Number:#{@num}" end end puts it #=> Class:Foo Number:40
[SEE_ALSO] Object#to_str,Kernel.#String
to_str -> String
[permalink][rdoc]オブジェクトの String への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。
説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。
このメソッドを定義する条件は、
という厳しいものになっています。
class Foo def to_str 'Edition' end end it = Foo.new p('Second' + it) #=> "SecondEdition"
[SEE_ALSO] Object#to_s,Kernel.#String
untaint -> self
[permalink][rdoc]オブジェクトの「汚染マーク」を取り除きます。
汚染マークを取り除くことによる危険性はプログラマが責任を負う必要が あります。
オブジェクトの汚染に関してはセキュリティモデルを参照してください。
[SEE_ALSO] Object#taint,Object#tainted?
initialize(*args, &block) -> object
[permalink][rdoc]ユーザ定義クラスのオブジェクト初期化メソッド。
このメソッドは Class#new から新しく生成されたオブ ジェクトの初期化のために呼び出されます。他の言語のコンストラクタに相当します。 デフォルトの動作ではなにもしません。
initialize には Class#new に与えられた引数がそのまま渡されます。
サブクラスではこのメソッドを必要に応じて再定義されること が期待されています。
initialize という名前のメソッドは自動的に private に設定され ます。
class Foo def initialize name puts "initialize Foo" @name = name end end class Bar < Foo def initialize name, pass puts "initialize Bar" super name @pass = pass end end it = Bar.new('myname','0500') p it #=> initialize Bar # initialize Foo # #<Bar:0x2b68f08 @name="myname", @pass="0500">
[SEE_ALSO] Class#new
initialize_copy(obj) -> object
[permalink][rdoc](拡張ライブラリによる) ユーザ定義クラスのオブジェクトコピーの初期化メソッド。
このメソッドは self を obj の内容で置き換えます。ただ し、self のインスタンス変数や特異メソッドは変化しません。 Object#clone, Object#dupの内部で使われています。
initialize_copy は、Ruby インタプリタが知り得ない情報をコピーするた めに使用(定義)されます。例えば C 言語でクラスを実装する場合、情報 をインスタンス変数に保持させない場合がありますが、そういった内部情 報を initialize_copy でコピーするよう定義しておくことで、dup や clone を再定義する必要がなくなります。
デフォルトの Object#initialize_copy は、 freeze チェックおよび型のチェックを行い self を返すだけのメソッドです。
initialize_copy という名前のメソッドは 自動的に private に設定されます。
[SEE_ALSO] Object#clone,Object#dup
以下に例として、dup や clone がこのメソッドをどのように利用しているかを示します。
obj.dup は、新たに生成したオブジェクトに対して initialize_copy を呼び
obj2 = obj.class.allocate obj2.initialize_copy(obj)
obj2 に対してさらに obj の汚染状態、インスタンス変数、ファイナライ ザをコピーすることで複製を作ります。 obj.clone は、さらに 特異メソッドのコピーも行います。
obj = Object.new class <<obj attr_accessor :foo def bar :bar end end def check(obj) puts "instance variables: #{obj.inspect}" puts "tainted?: #{obj.tainted?}" print "singleton methods: " begin p obj.bar rescue NameError p $! end end obj.foo = 1 obj.taint check Object.new.send(:initialize_copy, obj) #=> instance variables: #<Object:0x4019c9d4> # tainted?: false # singleton methods: #<NoMethodError: ...> check obj.dup #=> instance variables: #<Object:0x4019c9c0 @foo=1> # tainted?: true # singleton methods: #<NoMethodError: ...> check obj.clone #=> instance variables: #<Object:0x4019c880 @foo=1> # tainted?: true # singleton methods: :bar
remove_instance_variable(name) -> object
[permalink][rdoc]オブジェクトからインスタンス変数 name を取り除き、そのインス タンス変数に設定されていた値を返します。
class Foo def foo @foo = 1 p remove_instance_variable(:@foo) #=> 1 p remove_instance_variable(:@foo) # instance variable @foo not defined (NameError) end end Foo.new.foo
[SEE_ALSO] Module#remove_class_variable,Module#remove_const
singleton_method_added(name) -> object
[permalink][rdoc]特異メソッドが追加された時にインタプリタから呼び出されます。
通常のメソッドの追加に対するフックには Module#method_addedを使います。
class Foo def singleton_method_added(name) puts "singleton method \"#{name}\" was added" end end obj = Foo.new def obj.foo end #=> singleton method "foo" was added
[SEE_ALSO] Module#method_added,Object#singleton_method_removed,Object#singleton_method_undefined
singleton_method_removed(name) -> object
[permalink][rdoc]特異メソッドが Module#remove_method に より削除された時にインタプリタから呼び出されます。
通常のメソッドの削除に対するフックには Module#method_removedを使います。
class Foo def singleton_method_removed(name) puts "singleton method \"#{name}\" was removed" end end obj = Foo.new def obj.foo end class << obj remove_method :foo end #=> singleton method "foo" was removed
[SEE_ALSO] Module#method_removed,Object#singleton_method_added,Object#singleton_method_undefined
singleton_method_undefined(name) -> object
[permalink][rdoc]特異メソッドが Module#undef_method または undef により未定義にされた時にインタプリタから呼び出されます。
通常のメソッドの未定義に対するフックには Module#method_undefined を使います。
class Foo def singleton_method_undefined(name) puts "singleton method \"#{name}\" was undefined" end end obj = Foo.new def obj.foo end def obj.bar end class << obj undef_method :foo end obj.instance_eval {undef bar} #=> singleton method "foo" was undefined # singleton method "bar" was undefined
[SEE_ALSO] Module#method_undefined,Object#singleton_method_added,Object#singleton_method_removed , クラス/メソッドの定義/undef
ARGF -> Object
[permalink][rdoc]引数 (なければ標準入力) で構成される仮想ファイル (詳細は ARGF を参照)。
つまり Kernel.#gets は ARGF.gets と同じ意味です。 ARGF.file で現在読み込み中のファイルオブジェクトが、 ARGF.filename で現在読み込み中のファイル名が得られます。
ARGV -> Array
[permalink][rdoc] [redefined by optparse]
Ruby スクリプトに与えられた引数を表す配列です。
optparse を require することにより、ARGV は OptionParser::Arguable を Object#extend します。
[SEE_ALSO] OptionParser::Arguable
ARGV -> Array
[permalink][rdoc]Ruby スクリプトに与えられた引数を表す配列です。
組み込み変数 $* の別名です。 Ruby 自身に対する引数は取り除かれています。
例:
スクリプト argv.rb の内容が
p ARGV
であったとします。このときシェルから次を実行すると、
$ ruby argv.rb foo bar baz
結果は以下のように出力されます。
["foo", "bar", "baz"]
DATA -> File
[permalink][rdoc]スクリプトの __END__ プログラムの終り以降をアクセスする File オブジェクト。
ソースファイルの __END__ 以降は解析・実行の対象にならないので その部分にプログラムが利用するためのデータを書き込んでおくことができます。 DATA 定数はそのデータ部分にアクセスするための File オブジェクトを保持しています。
__END__ を含まないプログラムにおいては DATA は定義されません。
print DATA.gets # => 故人西辞黄鶴楼 print DATA.gets # => 烟花三月下揚州 print DATA.gets # => 孤帆遠影碧空尽 print DATA.gets # => 唯見長江天際流 DATA.gets # => nil __END__ 故人西辞黄鶴楼 烟花三月下揚州 孤帆遠影碧空尽 唯見長江天際流
sum = 0 DATA.each_line do |line| sum += line.to_i end DATA.rewind p DATA.gets # => "sum = 0¥n" __END__ 17 19 23 29 31
DATA.gets # => uninitialized constant DATA (NameError)
ファイル library.rb と app.rb の内容が以下であったとします。
library.rb:
print DATA.gets __END__ data from library
app.rb:
require 'library.rb' __END__ data from app
このときシェルから次を実行すると
$ ruby app.rb
結果は以下のように出力されます。
data from app
ENV -> Object
[permalink][rdoc]環境変数を表す (疑似) 連想配列 (詳細は ENV を参照)。
この連想配列の値を変更すると子プロセスの環境として引き継がれます。
FALSE -> FalseClass
[permalink][rdoc]非推奨です。代表的な偽の値。false と同じ。
この定数は過去との互換性のために提供されています。擬似変数 false を使ってください。 Ruby では false と nil が偽として扱われます。 偽でない値(false でも nil でもない値) は全て真とみなされます。
NIL -> NilClass
[permalink][rdoc]非推奨です。 nil と同じ。
この定数は過去との互換性のために提供されています。擬似変数 nil を使ってください。
Ruby では false と nil が偽として扱われます。 偽でない値(false でも nil でもない値) は全て真とみなされます。
PLATFORM -> String
[permalink][rdoc]非推奨です。 Object::RUBY_PLATFORM の古い名前です。
この定数は過去との互換性のために提供されています。 RUBY_PLATFORM を使ってください。
RELEASE_DATE -> String
[permalink][rdoc]非推奨です。 Object::RUBY_RELEASE_DATE の古い名前です。
この定数は過去との互換性のために提供されています。 RUBY_RELEASE_DATE を使ってください。
RUBY_COPYRIGHT -> String
[permalink][rdoc]Ruby のコピーライトを表す文字列。
RUBY_DESCRIPTION -> String
[permalink][rdoc]Ruby の詳細を表す文字列。
ruby -v で表示される内容が格納されています。
RUBY_PATCHLEVEL -> Fixnum
[permalink][rdoc]Ruby のパッチレベルを表す Fixnum オブジェクトです。
パッチレベルはRubyの各バージョンに対するバグ修正パッチの適用をカウントしています。 teeny リリースのそれぞれについてパッチレベルは 0 から始まり、 その teeny リリースに対してバグ修正パッチが適用される度に増えていきます。
パッチレベルという概念および RUBY_PATCHLEVEL 定数は、 Ruby 1.8.5-p1 以降、 1.8.6 以降で導入されました。 1.8.5やそれ以前のバージョンでは定義されていません。
RUBY_PLATFORM -> String
[permalink][rdoc]プラットフォームを表す文字列。
RUBY_RELEASE_DATE -> String
[permalink][rdoc]Ruby のリリース日を表す文字列。
RUBY_VERSION -> String
[permalink][rdoc]Ruby のバージョンを表す文字列。
Ruby のバージョンは、major.minor.teeny という形式です。 それぞれの番号は (今のところ) 2 桁以上にならないと約束されていますので、
if RUBY_VERSION >= '1.6.7' # バージョン 1.6.7 以降で有効な処理 else # それ以前のバージョンで有効な処理 end
とバージョンの違いによる処理の分岐を書くことができます。
Ruby 1.8 までは、minor が奇数のバージョンは開発版、 minor が偶数のバージョンは安定版です。 Ruby 1.9.0 以降は、teeny が 0 のバージョンが開発版となる予定です。
SCRIPT_LINES__ -> Hash
[permalink][rdoc]ソースファイル別にまとめられたソースコードの各行。
この定数は、デフォルトでは定義されていません。 この定数がハッシュとして定義された後にソースが((*コンパイル*))されると、 そのソースファイル名をキーに、 ソースを行毎に分割した配列を値にしたハッシュ要素が設定されます。
この定数はデバッガ (debug) などで利用されています。
なお、 $SAFE レベルが 0 でなければ有効にはなりません。 また、 Kernel.#eval によるコンパイルは対象にはなりません。
例:
require 'pp' SCRIPT_LINES__ = {} require 'English' pp SCRIPT_LINES__ # => {"/usr/local/lib/ruby/1.6/English.rb"=> # ["alias $ERROR_INFO $!\n", # "alias $ERROR_POSITION $@\n", # "alias $LOADED_FEATURES $\"\n", # : # : # "alias $POSTMATCH $'\n", # "alias $LAST_PAREN_MATCH $+\n"]}
STDERR -> IO
[permalink][rdoc]標準エラー出力。$stderr のデフォルト値。 $stderr も参照してください。
STDERR は、 ruby プロセスが起動された時点での標準エラー出力を表します。 起動時点では $stderr も同じ値に初期化されています。
$stderr に他の出力オブジェクトを代入することで簡易なリダイレクトを実現できます。 そして、 $stderr に STDERR を代入すればこのリダイレクトを復元できるわけです。
STDERR は ruby 自体が起動された時点での標準エラー出力です。 「システムにおける標準のエラー出力ストリーム」とは異なります。
多くのシステムでは標準のエラー出力ストリームは端末です。 ruby 自体が他のストリームに向けてエラー出力をリダイレクトされた状態で起動された場合、 STDERR が保持するのは端末ではなく、リダイレクト先のストリームです。
STDIN -> IO
[permalink][rdoc]標準入力。$stdin のデフォルト値。 $stdin も参照してください。
STDIN は、 ruby プロセスが起動された時点での標準入力を表します。 起動時点では $stdin も同じ値に初期化されています。
$stdin に他の入力オブジェクトを代入することで簡易なリダイレクトを実現できます。 そして、 $stdin に STDIN を代入すればこのリダイレクトを復元できるわけです。
STDIN は ruby 自体が起動された時点での標準入力です。 「システムにおける標準の入力ストリーム」とは異なります。
多くのシステムでは標準の入力ストリームは端末です。 ruby 自体が他のストリームに向けて入力をリダイレクトされた状態で起動された場合、 STDIN が保持するのは端末ではなく、リダイレクト先のストリームです。
STDOUT -> IO
[permalink][rdoc]標準出力。$stdout のデフォルト値。 $stdout も参照してください。
STDOUT は、 ruby プロセスが起動された時点での標準出力を表します。 起動時点では $stdout も同じ値に初期化されています。
$stdout に他の出力オブジェクトを代入することで簡易なリダイレクトを実現できます。 そして、 $stdout に STDOUT を代入すればこのリダイレクトを復元できるわけです。
STDOUT は ruby 自体が起動された時点での標準出力です。 「システムにおける標準の出力ストリーム」とは異なります。
多くのシステムでは標準の出力ストリームは端末です。 ruby 自体が他のストリームに向けて出力をリダイレクトされた状態で起動された場合、 STDOUT が保持するのは端末ではなく、リダイレクト先のストリームです。
TOPLEVEL_BINDING -> Binding
[permalink][rdoc]トップレベルでの Binding オブジェクト。
詳細は Binding を参照してください。
TRUE -> TrueClass
[permalink][rdoc]非推奨です。代表的な真の値。true と同じ。
この定数は過去との互換性のために提供されています。擬似変数 true を使ってください。
Ruby では false と nil が偽として扱われます。 偽でない値(false でも nil でもない値) は全て真とみなされます。
VERSION -> String
[permalink][rdoc]非推奨です。 Object::RUBY_VERSION の古い名前です。
この定数は過去との互換性のために提供されています。 RUBY_VERSION を使ってください。