Ruby 1.8.7 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > 組み込みライブラリ > Regexpクラス

class Regexp

クラスの継承リスト: Regexp < Object < Kernel

要約

正規表現のクラス。正規表現のリテラルはスラッシュで囲んだ形式 で記述します。

/^this is regexp/

Regexp.new(string) を使って正規表現オブジェクトを動的に生成する こともできます。

str = "this is regexp"
rp1 = Regexp.new("^this is regexp")
p rp1 =~ str           #=> 0
p Regexp.last_match[0] #=> "this is regexp"

正規表現リテラル/正規表現リテラル も参照してください。

目次

特異メソッド
compile new escape quote last_match union
インスタンスメソッド
== eql? === =~ casefold? hash inspect kcode match options source to_s ~
定数
EXTENDED IGNORECASE MULTILINE

特異メソッド

compile(string, option = nil, code = nil) -> Regexp[permalink][rdoc]
new(string, option = nil, code = nil) -> Regexp

文字列 string をコンパイルして正規表現オブジェクトを生成して返します。

第一引数が正規表現であれば第一引数を複製して返します。第二、第三引数は警告の上無視されます。

[PARAM] string:
正規表現を文字列として与えます。
[PARAM] option:
Regexp::IGNORECASE, Regexp::MULTILINE, Regexp::EXTENDED の論理和を指定します。 Fixnum 以外であれば真偽値の指定として見なされ 、真(nil, false 以外)であれば Regexp::IGNORECASE の指定と同じになります。
[PARAM] code:
この引数が与えられた場合は $KCODE の値にかかわらず、指定された文字コードでマッチを行います。 文字コードは $KCODE への代入と同様に文字列引数の最初の一文字で決定されます。
[EXCEPTION] RegexpError:
正規表現のコンパイルに失敗した場合発生します。
str = "This is Regexp"
t1 = Regexp.compile("this is regexp", Regexp::IGNORECASE)
t1.match(str)
puts $~ #=> This is Regexp

t2 = Regexp.compile('
      this         # ここは使用されない
      \ is
      \ regexp     # ここも使用されない
', Regexp::EXTENDED | Regexp::IGNORECASE)
t2.match(str)
puts Regexp.last_match #=> This is Regexp

str = "ふるいけや\nかわずとびこむ\nみずのおと"
t2 = Regexp.compile("ふる.*?と", Regexp::MULTILINE)
puts t2.match(str)[0]  #=> ふるいけや
                       #=> かわずと

[SEE_ALSO] $KCODE

escape(string, kcode = $KCODE) -> String[permalink][rdoc]
quote(string, kcode = $KCODE) -> String

string の中で正規表現において特別な意味を持つ文字の直前にエ スケープ文字(バックスラッシュ)を挿入した文字列を返します。

省略可能な引数 kcode で文字列の文字コードを指定します (省略時は $KCODE の値が使用されます)。

文字コードの指定は $KCODE と同様に行います。

[PARAM] string:
正規表現において特別な意味をもつ文字をもつ文字列を指定します。
[PARAM] kcode:
文字コードを文字列で指定します。文字コードの指定は $KCODE と同様に行います。
rp = Regexp.escape("$bc^")
puts rp #=> \$bc\^
last_match -> MatchData[permalink][rdoc]

カレントスコープで最後に行った正規表現マッチの MatchData オ ブジェクトを返します。このメソッドの呼び出しは $~ の参照と同じです。

/(.)(.)/ =~ "ab"
p Regexp.last_match      # => #<MatchData:0x4599e58>
p Regexp.last_match[0]   # => "ab"
p Regexp.last_match[1]   # => "a"
p Regexp.last_match[2]   # => "b"
p Regexp.last_match[3]   # => nil
last_match(nth) -> String | nil[permalink][rdoc]

整数 nth が 0 の場合、マッチした文字列を返します ($&)。それ以外では、nth 番目の括弧にマッチ した部分文字列を返します($1,$2,...)。 対応する括弧がない場合やマッチしなかった場合には nil を返し ます。

/(.)(.)/ =~ "ab"
p Regexp.last_match      # => #<MatchData:0x4599e58>
p Regexp.last_match(0)   # => "ab"
p Regexp.last_match(1)   # => "a"
p Regexp.last_match(2)   # => "b"
p Regexp.last_match(3)   # => nil

正規表現全体がマッチしなかった場合、引数なしの Regexp.last_match はnil を返すため、 last_match[1] の形式では例外 NameError が発生します。 対して、last_match(1) は nil を返します。

str = "This is Regexp"
/That is Regexp/ =~ str
p Regexp.last_match #=> nil
begin
  p Regexp.last_match[1] # 例外が発生する
rescue
  puts $! #=> undefined method `[]' for nil:NilClass
end
p Regexp.last_match(1) #=> nil
[PARAM] nth:
整数を指定します。 整数 nth が 0 の場合、マッチした文字列を返します。それ以外では、nth 番目の括弧にマッチした部分文字列を返します。
union(*pattern) -> Regexp[permalink][rdoc]

引数として与えた pattern を選択 | で連結し、Regexp として返します。 結果の Regexp は与えた pattern のどれかにマッチする場合にマッチするものになります。

p Regexp.union(/a/, /b/, /c/) #=> /(?-mix:a)|(?-mix:b)|(?-mix:c)/

引数を一つだけ与える場合は、Array を与えても Regexp を生成します。 つまり、以下のように書くことができます。

arr = [/a/, /b/, /c/]
p Regexp.union(arr)  #=> /(?-mix:a)|(?-mix:b)|(?-mix:c)/
# 1.8.7 より前は、以下のように書く必要があった
p Regexp.union(*arr) #=> /(?-mix:a)|(?-mix:b)|(?-mix:c)/

pattern は Regexp または String で与えます。 String で与えた場合、それ自身と等しい文字列にマッチするものと解釈され、 エスケープされて結果の Regexp に組み込まれます。

p Regexp.union("a", "?", "b") # => /a|\?|b/
p Regexp.union(/a/, "*") # => /(?-mix:a)|\*/

引数をひとつも与えなかった場合、決してマッチしない Regexp を返します。

p Regexp.union() # => /(?!)/

結果の Regexp が対応する文字コードは引数として与えた Regexp が扱う文字コードに 一致します。 固定コードに対してコンパイルされている Regexp を複数与える場合、 それらのコードは一致していなければなりません。 異なる固定コードに対してコンパイルされている Regexp が存在する場合、 ArgumentError が発生します。

p Regexp.union(/a/e, /b/e) # => /(?-mix:a)|(?-mix:b)/e
p Regexp.union(/a/e, /b/s) # => ArgumentError

コードが固定されている Regexp とコードが固定されていない Regexp を混ぜた場合、 結果の Regexp は固定されているコードに対応するものになります。

p Regexp.union(/a/e, /b/) # => /(?-mix:a)|(?-mix:b)/e
[PARAM] pattern:
| で連結したい正規表現を指定します
# オプションは合成されない
p Regexp.union(/foo/i, /bar/x, /hoge/m) #=> /(?i-mx:foo)|(?x-mi:bar)|(?m-ix:hoge)/

# 文字列そのものにマッチする
rep1 = [ "foo", "bar", "hoge"]
p Regexp.union(*rep1) #=> /foo|bar|hoge/
p Regexp.union(rep1)  #=> /foo|bar|hoge/

# 下記の場合オプションがつくのは最初だけ
rep2 = [ /foo/x, "bar", "hoge"]
p Regexp.union(*rep2) #=> /(?x-mi:foo)|bar|hoge/
p Regexp.union(rep2)  #=> /(?x-mi:foo)|bar|hoge/

インスタンスメソッド

self == other -> bool[permalink][rdoc]
eql?(other) -> bool

otherが同じパターン、オプション、文字コードの正規表現であったらtrueを返します。

[PARAM] other:
正規表現を指定します。
p /^eee$/   == /~eee$/x   #=> false
p /^eee$/   == /~eee$/i   #=> false
p /^eee$/e  == /~eee$/u   #=> false
p /^eee$/ == Regexp.new("^eee$") #=> true
p /^eee$/.eql?(/^eee$/)          #=> true
self === string -> bool[permalink][rdoc]

文字列 string との正規表現マッチを行います。 マッチした場合は真を返します。

string が文字列でない場合には false を返します。

このメソッドは主にcase文での比較に用いられます。

[PARAM] string:
マッチ対象文字列
self =~ string -> Fixnum | nil[permalink][rdoc]

文字列 string との正規表現マッチを行います。マッチした場合、 マッチした位置のインデックスを返します(先頭は0)。マッチしなかった 場合、あるいは string が nil の場合には nil を返 します。

p /foo/ =~ "foo"  #=> 0
p /foo/ =~ "afoo" #=> 1
p /foo/ =~ "bar"  #=> nil

組み込み変数 $~ もしくは Regexp.last_match にマッチに関する情報 MatchData が設定されます。

[PARAM] string:
マッチ対象文字列
[EXCEPTION] TypeError:
string が nil でも String オブジェクトでもない 場合発生します。
p /foo/ =~ "foo"        #=> 0
p Regexp.last_match(0)  #=> "foo"
p /foo/ =~ "afoo"       #=> 1
p $~[0]                 #=> "foo"
p /foo/ =~ "bar"        #=> nil

unless /foo/ === "bar"
  puts "not match " #=> not match
end

str = []
begin
  /ugo/ =~ str
rescue TypeError
  printf "! %s\t%s\n", $!, $@ #=> ! can't convert Array into String       r5.rb:15
end
casefold? -> bool[permalink][rdoc]

正規表現が大文字小文字の判定をしないようにコンパイルされている時、 真を返します。

reg = Regexp.new("foobar", Regexp::IGNORECASE)
p reg.casefold? #=> true

reg = Regexp.new("hogehoge")
p reg.casefold? #=> false
hash -> Fixnum[permalink][rdoc]

正規表現のオプションやテキストに基づいたハッシュ値を返します。

p /abc/i.hash #=> 4893115
p /abc/.hash  #=> 4856055
inspect -> String[permalink][rdoc]

Regexp#to_s より自然な文字列を返します。

p /^ugou.*?/i.to_s    #=> "(?i-mx:^ugou.*?)"
p /^ugou.*?/i.inspect #=> "/^ugou.*?/i"

[SEE_ALSO] Regexp#to_s

kcode -> String | nil[permalink][rdoc]

その正規表現が対応するようにコンパイルされている文字コードを $KCODE と同じ形式で返します。もし、正規表現が固定 コードに対してコンパイルされていない(マッチ時点での $KCODE の値を用いる)場合には、nil を返します。

reg = Regexp.new("hogehoge", nil, "u")
p reg.kcode #=> "utf8"

reg = Regexp.new("hogehoge", nil)
p reg.kcode #=> "nil"
match(str) -> MatchData | nil[permalink][rdoc]

指定された文字列 str に対して 自身が表す正規表現によるマッチングを行います。マッチした場合には結果を MatchData オブジェクトで返します。 マッチしなかった場合 nil を返します。

[PARAM] str:
文字列を指定します。str との正規表現マッチを行います。

使用例

reg = Regexp.new("foo")

if reg.match("foobar")
  print "match\n" #=> match
end

p reg.match("foobar") #=> #<MatchData:0x29403fc>
p reg.match("bar")    #=> nil

p /(foo)(bar)(baz)/.match("foobarbaz").to_a.values_at(1,2,3) #=> ["foo", "bar", "baz"]

便利な使いかた

正規表現にマッチした部分文字列だけが必要な場合に、

bar = /foo(.*)baz/.match("foobarbaz").to_a[1]

foo, bar, baz = /(foo)(bar)(baz)/.match("foobarbaz").to_a.values_at(1,2,3)

のように使用できます。(to_a は、マッチに失敗した場合を考慮しています。)

多重代入の規則では右辺が配列でない一つのオブジェクトで to_a メソッドを持つ場合、右辺に * を付けることで to_a の結果を利用でき ます。つまり、上記は以下のように書くことができます。(ここでの `_' は、$& を捨てるために適当に選んだ変数名)

_, foo, bar, baz = */(foo)(bar)(baz)/.match("foobarbaz")
p [foo, bar, baz]

# => ["foo", "bar", "baz"]

このような用途に MatchData#captures が使 えると考えるかも知れませんが、captures では、マッチに失敗した場合、 nil.captures を呼び出そうとして例外 NoMethodError が発生して しまいます。

foo, bar, baz = /(foo)(bar)(baz)/.match("foobar").captures

# => -:1: undefined method `captures' for nil:NilClass (NoMethodError)
options -> Integer[permalink][rdoc]

正規表現の生成時に指定されたオプションを返します。戻り値は、 Regexp::EXTENDED, Regexp::IGNORECASE, Regexp::MULTILINE, の論理和です。

p Regexp::IGNORECASE # => 1
p //i.options        # => 1

p Regexp.new("foo", Regexp::IGNORECASE ).options #=> 1
p Regexp.new("foo", Regexp::EXTENDED).options    #=> 2
p Regexp.new("foo", Regexp::IGNORECASE | Regexp::EXTENDED).options #=> 3
p Regexp.new("foo", Regexp::MULTILINE).options #=> 4
p Regexp.new("foo", Regexp::IGNORECASE | Regexp::MULTILINE ).options #=> 5
p Regexp.new("foo", Regexp::MULTILINE | Regexp::EXTENDED).options #=>6
p Regexp.new("foo", Regexp::IGNORECASE | Regexp::MULTILINE | Regexp::EXTENDED).options #=> 7
source -> String[permalink][rdoc]

その正規表現のもととなった文字列表現を生成して返します。

re = /foo|bar|baz/i
p re.source     # => "foo|bar|baz"
to_s -> String[permalink][rdoc]

正規表現の文字列表現を生成して返します。返される文字列は他の正規表 現に埋め込んでもその意味が保持されるようになっています。

re = /foo|bar|baz/i
p re.to_s       # => "(?i-mx:foo|bar|baz)"
p /#{re}+/o     # => /(?i-mx:foo|bar|baz)+/

ただし、後方参照を含む正規表現は意図通りにはならない場合があります。 これは現状、後方参照を番号でしか指定できないためです。

re = /(foo|bar)\1/      # \1 は、foo か bar
p /(baz)#{re}/          # \1 は、baz

# => /(baz)(?-mix:(foo|bar)\1)/

使用例

re = /foo|bar|baz/i
p re.to_s       # => "(?i-mx:foo|bar|baz)"
p /#{re}+/o     # => /(?i-mx:foo|bar|baz)+/

[SEE_ALSO] Regexp#inspect

~ self -> Fixnum | nil[permalink][rdoc]

変数 $_ の値との間でのマッチをとります。

ちょうど以下と同じ意味です。

self =~ $_

使用例

$_ = "hogehoge"

if  /foo/
  puts "match"
else
  puts "no match"
end
#=> no match
# ただし、警告がでる。warning: regex literal in condition

reg = Regexp.compile("foo")

if ~ reg
  puts "match"
else
  puts "no match"
end
#=> no match

if reg
  puts "match"
else
  puts "no match"
end
#=> match
# reg は nil でも false でも無いので常にtrue

定数

EXTENDED -> Fixnum[permalink][rdoc]

バックスラッシュでエスケープされていない空白と # から改行までを無 視します。正規表現リテラルの //x オプションと同じ です。(空白を入れる場合は\でエスケープして\ (<-空白)と 指定します)

IGNORECASE -> Fixnum[permalink][rdoc]

文字の大小の違いを無視します。 正規表現リテラルの //i オプションと同じです。

MULTILINE -> Fixnum[permalink][rdoc]

複数行モード。正規表現 "." が改行にマッチするようになります。 正規表現リテラルの //m オプションと同じです。