Ruby 1.8.7 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > 組み込みライブラリ > Fixnumクラス

class Fixnum

クラスの継承リスト: Fixnum < Integer < Precision < Numeric < Comparable < Object < Kernel

要約

Bignum 同様、整数のクラスです。 演算の結果が Fixnum の範囲を越えた時には 自動的に Bignum に拡張されます。

マシンのポインタのサイズに収まる長さの固定長整数で、 ほとんどのマシンでは 31 ビット幅です。

破壊的な変更

Ruby の Fixnum クラスは immutable です。 つまり、オブジェクト自体を破壊的に変更することはできません。 Bignum も同様です。

例:

100000.class             # => Fixnum
100000 * 100000          # => 100000000
(100000 * 100000).class  # => Bignum

目次

インスタンスメソッド
% modulo & * ** rpower ** + - -@ / div / < << <= <=> == > >= >> [] ^ divmod even? fdiv id2name odd? quo quo size to_f to_s to_sym zero? | ~

インスタンスメソッド

self % other -> Fixnum | Bignum | Float[permalink][rdoc]
modulo(other) -> Fixnum | Bignum | Float

算術演算子。剰余を計算します。

[PARAM] other:
二項演算の右側の引数(対象)
[RETURN]
計算結果
self & other -> Fixnum | Bignum[permalink][rdoc]

ビット二項演算子。論理積を計算します。

[PARAM] other:
数値
1 & 1 #=> 1
2 & 3 #=> 2
self * other -> Fixnum | Bignum | Float[permalink][rdoc]

算術演算子。積を計算します。

[PARAM] other:
二項演算の右側の引数(対象)
[RETURN]
計算結果
self ** other -> Integer | Float | Rational[permalink][rdoc] [redefined by rational]
rpower(other) -> Integer | Float | Rational [redefined by rational]

冪(べき)乗を計算します。other が負の整数の場合、計算結果を Rational オブジェクトで返します。

[PARAM] other:
自身を other 乗する数
2.rpower(3)           # => 8
2.rpower(-3)          # => Rational(1, 8)
self ** other -> Fixnum | Bignum | Float[permalink][rdoc]

算術演算子。冪(べき乗)を計算します。

[PARAM] other:
二項演算の右側の引数(対象)
[RETURN]
計算結果
2 ** 3 # => 8
2 ** 0 # => 1
0 ** 0 # => 1
self + other -> Fixnum | Bignum | Float[permalink][rdoc]

算術演算子。和を計算します。

[PARAM] other:
二項演算の右側の引数(対象)
[RETURN]
計算結果
self - other -> Fixnum | Bignum | Float[permalink][rdoc]

算術演算子。差を計算します。

[PARAM] other:
二項演算の右側の引数(対象)
[RETURN]
計算結果
- self -> Integer[permalink][rdoc]

単項演算子の - です。 self の符号を反転させたものを返します。

self / other -> Fixnum | Bignum | Float[permalink][rdoc]
div(other) -> Fixnum | Bignum | Float

算術演算子。商を計算します。

[PARAM] other:
二項演算の右側の引数(対象)
[RETURN]
計算結果
self / other[permalink][rdoc] [redefined by mathn]

[TODO]

Fixnum#quo と同じ働きをします(有理数または整数を返します)。

self < other -> bool[permalink][rdoc]

比較演算子。数値として小さいか判定します。

[PARAM] other:
比較対象の数値
[RETURN]
self よりも other が大きい場合 true を返します。 そうでなければ false を返します。
self << bits -> Fixnum | Bignum[permalink][rdoc]

シフト演算子。bits だけビットを左にシフトします。

[PARAM] bits:
シフトさせるビット数
printf("%#b\n", 0b0101 << 1) #=> 0b1010
p -1 << 1 #=> -2
self <= other -> bool[permalink][rdoc]

比較演算子。数値として等しいまたは小さいか判定します。

[PARAM] other:
比較対象の数値
[RETURN]
self よりも other の方が大きい場合か、 両者が等しい場合 true を返します。 そうでなければ false を返します。
self <=> other -> Fixnum[permalink][rdoc]

self と other を比較して、self が大きい時に正、 等しい時に 0、小さい時に負の整数を返します。

[PARAM] other:
比較対象の数値
[RETURN]
-1 か 0 か 1 のいずれか
1 <=> 2 #=> -1
1 <=> 1 #=> 0
2 <=> 1 #=> 1
self == other -> bool[permalink][rdoc]

比較演算子。数値として等しいか判定します。

[PARAM] other:
比較対象の数値
[RETURN]
self と other が等しい場合 true を返します。 そうでなければ false を返します。
self > other -> bool[permalink][rdoc]

比較演算子。数値として大きいか判定します。

[PARAM] other:
比較対象の数値
[RETURN]
self よりも other の方が小さい場合 true を返します。 そうでなければ false を返します。
self >= other -> bool[permalink][rdoc]

比較演算子。数値として等しいまたは大きいか判定します。

[PARAM] other:
比較対象の数値
[RETURN]
self よりも other の方が小さい場合か、 両者が等しい場合 true を返します。 そうでなければ false を返します。
self >> bits -> Fixnum | Bignum[permalink][rdoc]

シフト演算子。bits だけビットを右にシフトします。

右シフトは、符号ビット(最上位ビット(MSB))が保持されます。 bitsが実数の場合、小数点以下を切り捨てた値でシフトします。

[PARAM] bits:
シフトさせるビット数
printf("%#b\n", 0b0101 >> 1) #=> 0b10
p -1 >> 1 #=> -1
self[nth] -> Fixnum[permalink][rdoc]

nth 番目のビット(最下位ビット(LSB)が 0 番目)が立っている時 1 を、そうでなければ 0 を返します。

[PARAM] nth:
何ビット目を指すかの数値
[RETURN]
1 か 0

self[nth]=bit (つまりビットの修正) がないのは、Numeric 関連クラスが immutable であるためです。

self ^ other -> Fixnum | Bignum[permalink][rdoc]

ビット二項演算子。排他的論理和を計算します。

[PARAM] other:
数値
1 ^ 1 #=> 0
2 ^ 3 #=> 1
divmod(other) -> [Integer, Numeric][permalink][rdoc]

self を other で割った商 q と余り r を、 [q, r] という 2 要素の配列にし て返します。 商 q は常に整数ですが、余り r は整数であるとは限りません。

[PARAM] other:
self を割る数。

[SEE_ALSO] Numeric#divmod

even? -> bool[permalink][rdoc]

self が偶数の場合に true を返します。そうでない場合に false を返します。

fdiv(other) -> Float[permalink][rdoc]

self を other で割った商を Float で返します。

[PARAM] other:
self を割る数を指定します。

[SEE_ALSO] Fixnum#quo

id2name -> String | nil[permalink][rdoc]

オブジェクトの整数値 self を、ある Symbol オブジェクトに対応する整数値とみなした上で、 そのシンボルを示す文字列を返します。 整数に対応するシンボルは必ずしも存在せず、その場合は nil を返します。

Symbol#to_i の逆変換のようですが、 返すのはシンボルではなく文字列です。

[RETURN]
オブジェクト名を示す文字列か nil

例:

:foo.to_i      #=> 14585
14585.id2name  #=> "foo"
1.id2name      #=> nil

Fixnum#to_sym で得たシンボルに対して Symbol#to_s で文字列にしたものとおおかた一致しますが、 nil のときの挙動が異なります。

例:

1.id2name     #=> nil
1.to_sym.to_s #=> ""
odd? -> bool[permalink][rdoc]

self が奇数の場合に true を返します。そうでない場合に false を返します。

quo(other) -> Float[permalink][rdoc]

self を other で割った商を返します。 整商を得たい場合は Fixnum#div を使ってください。

Fixnum#fdiv との違いについては Numeric#quo を参照してください。

[PARAM] other:
self を割る数を指定します。

[SEE_ALSO] Numeric#quo

quo(other) -> Rational[permalink][rdoc] [redefined by rational]

self を other で割った商を返します。

再定義前と違って計算結果が有理数の範囲に収まる場合は Rational オブジェクトを返します。

[PARAM] other:
自身を割る数

例:

require 'rational'
1.quo(2)              # => Rational(1,2)
1.quo(2.0)            # => 0.5
size -> Fixnum[permalink][rdoc]

整数の実装上のサイズをバイト数で返します。

現在の実装では Fixnum は、sizeof(long) 固定(多くの 32 bit マシンで 4 バイト)、Bignumは、システム依存です。

p 1.size
p 0x1_0000_0000.size
# => 4
     8
to_f -> Float[permalink][rdoc]

値を浮動小数点数(Float)に変換します。

to_s(base = 10) -> String[permalink][rdoc]

self を引数で指定した基数の文字列表現に変換します。

[PARAM] base:
基数を 2 から 36 の整数で指定します。
12345.to_s       #=> "12345"
12345.to_s(2)    #=> "11000000111001"
12345.to_s(8)    #=> "30071"
12345.to_s(10)   #=> "12345"
12345.to_s(16)   #=> "3039"
12345.to_s(36)   #=> "9ix"
to_sym -> Symbol | nil[permalink][rdoc]

オブジェクトの整数値 self に対応する Symbol オブジェク トを返します。整数に対応するシンボルが存在しない時には nil を返します。

Symbol#to_i の逆変換ととらえることができます。

[RETURN]
シンボルか nil

例:

:foo.to_i     #=> 14585
14585.to_sym  #=> :foo
1.to_sym      #=> nil
zero? -> bool[permalink][rdoc]

self が 0 の場合に true を返します。そうでない場合に false を返します。

self | other -> Fixnum | Bignum[permalink][rdoc]

ビット二項演算子。論理和を計算します。

[PARAM] other:
数値
1 | 1 #=> 1
2 | 3 #=> 3
~ self -> Fixnum | Bignum[permalink][rdoc]

ビット演算子。否定を計算します。

~1  #=> -2
~3  #=> -4
~-4 #=> 3