要約
数値を表す抽象クラスです。Integer や Float などの数値クラスは Numeric のサブクラスとして実装されています。
演算や比較を行うメソッド(+, -, *, /, <=>)は Numeric のサブクラスで定義されます。Numeric で定義されているメソッドは、サブクラスで提供されているメソッド (+, -, *, /, %) を利用して定義されるものがほとんどです。つまり Numeric で定義されているメソッドは、Numeric のサブクラスとして新たに数値クラスを定義した時に、演算メソッド(+, -, *, /, %, <=>, coerce)だけを定義すれば、数値クラスのそのほかのメソッドが適切に定義されることを意図して提供されています。
+@, -@ は単項演算子 +, - を表しメソッド定義などではこの記法を利用します。
効率のため Numeric のメソッドと同じメソッドがサブクラスで再定義されている場合があります。
Numeric#coerce メソッドを使うことによって異なる数値クラス間で演算を行うこともできます。
数値関連のメソッドを実際に定義しているクラス一覧
ほとんどの数値関連のメソッドはサブクラスで再定義されています。これは、効率のためであったり上位抽象クラスで実装を定義することができなかったりするためです。以下の表は 2.4.2 での一覧です。実際にどのメソッドがどのクラスに定義されているかはそれぞれのクラスを参照してください。
=> ruby 2.4.2p198 (2017-09-14 revision 59899) [x86_64-darwin15] Numeric Integer Float Rational Complex -------------------------------------------------------------------------------- % | o o o - - & | - o - - - * | - o o o o ** | - o o o o + | - o o o o +@ | o - - - - - | - o o o o -@ | o o o o o / | - o o o o < | - o o - - Numeric Integer Float Rational Complex -------------------------------------------------------------------------------- << | - o - - - <= | - o o - - <=> | o o o o - == | - o o o o === | - o o - - > | - o o - - >= | - o o - - >> | - o - - - [] | - o - - - ^ | - o - - - Numeric Integer Float Rational Complex -------------------------------------------------------------------------------- abs | o o o o o abs2 | o - - - o angle | o - o - o arg | o - o - o bit_length | - o - - - ceil | o o o o - chr | - o - - - coerce | o o o o o conj | o - - - o conjugate | o - - - o Numeric Integer Float Rational Complex -------------------------------------------------------------------------------- denominator | o o o o o digits | - o - - - div | o o - - - divmod | o o o - - downto | - o - - - eql? | o - o - o even? | - o - - - fdiv | o o o o o finite? | o - o - o floor | o o o o - Numeric Integer Float Rational Complex -------------------------------------------------------------------------------- gcd | - o - - - gcdlcm | - o - - - hash | - - o o o i | o - - - - imag | o - - - o imaginary | o - - - o infinite? | o - o - o inspect | - o o o o integer? | o o - - - lcm | - o - - - Numeric Integer Float Rational Complex -------------------------------------------------------------------------------- magnitude | o o o o o modulo | o o o - - nan? | - - o - - negative? | o - o o - next | - o - - - next_float | - - o - - nonzero? | o - - - - numerator | o o o o o odd? | - o - - - ord | - o - - - Numeric Integer Float Rational Complex -------------------------------------------------------------------------------- phase | o - o - o polar | o - - - o positive? | o - o o - pred | - o - - - prev_float | - - o - - quo | o - o o o rationalize | - o o o o real | o - - - o real? | o - - - o rect | o - - - o Numeric Integer Float Rational Complex -------------------------------------------------------------------------------- rectangular | o - - - o remainder | o o - - - round | o o o o - singleton_method_added | o - - - - size | - o - - - step | o - - - - succ | - o - - - times | - o - - - to_c | o - - - o to_f | - o o o o Numeric Integer Float Rational Complex -------------------------------------------------------------------------------- to_i | - o o o o to_int | o o o - - to_r | - o o o o to_s | - o o o o truncate | o o o o - upto | - o - - - zero? | o - o - - | | - o - - - ~ | - o - - -
丸めメソッドの動作一覧
Numeric#ceil, Numeric#floor, Numeric#round, Numeric#truncate のふるまいの違いの表です。左の実数に対して各メソッドを呼ぶと表のような数を返します。
| ceil floor round truncate ---------------------------------------------------- 1.9 | 2 1 2 1 1.1 | 2 1 1 1 -1.1 | -1 -2 -1 -1 -1.9 | -1 -2 -2 -1
丸めメソッドの拡張例
切上げはceil, floor を使用して以下のように定義できます。
if n > 0 then
n.ceil
else
n.floor
end
また、任意桁の切上げ、切捨て、四捨五入を行うメソッドは以下のように定義できます。
class Numeric
def roundup(d=0)
x = 10**d
if self > 0
self.quo(x).ceil * x
else
self.quo(x).floor * x
end
end
def rounddown(d=0)
x = 10**d
if self < 0
self.quo(x).ceil * x
else
self.quo(x).floor * x
end
end
def roundoff(d=0)
x = 10**d
if self < 0
(self.quo(x) - 0.5).ceil * x
else
(self.quo(x) + 0.5).floor * x
end
end
end
除法と商・剰余
Numeric には除法(除算;割り算;division)に関するメソッドがいくつもありますが、除法にはいくつか種類があるため、全貌が把握しづらくなっています。この節では除法の種類を説明し、各メソッドがどの除法に基づいているのかが分かるようにします。
まず用語についてですが、割られる数を被除数(dividend)、割る数を除数(divisor)、割った結果を商(quotient)と言います。
除法は大きく2つに分類できます。
そのうちの一つを、ここでは「普通の除法」と呼ぶことにします。普通の除法は、被除数を x、除数を y、商を q としたとき、x == q⋅y となるよう定義された除法です。 7 割る 2 を 3.5 とする除法は、普通の除法です。
普通の除法における商をここでは「普通の商」と呼ぶことにしましょう。
もう一つの除法は、商が必ず整数になるよう定義されるもので、これを「整除法」と言います。 7 割る 2 を 3 余り 1 とする除法は、整除法です。
整除法における商を特に「整商」と言います。
整除法では、被除数を x、除数を y、商を q としたとき、x と q⋅y が一致する(つまり割り切れる)とは限りません。その差 x − q⋅y を剰余(余り;remainder)と言います。整除法は商と剰余がセットで決まる除法なので「剰余付き除法」とも呼ばれます。
しばしば「整除法は整数の世界でしか成り立たない」と誤解されていますが、 2.5 メートルの紐から 0.75 メートルの紐が何本取れて何メートルの半端が出るか、という問題を考えれば、被除数や除数が整数でなくてもよいことが分かります。
p 2.5.divmod(0.75) # => [3, 0.25]
# 2.5 メートルの紐から 0.75 メートルの紐が 3 本取れて 0.25 メートル余る
ただし、複素数の世界では整商・剰余は考えないので、Complex に divmod などのメソッドは定義されていません。
以下では、まず普通の除法に基づくメソッドについて述べます。
普通の商を得るメソッドは Numeric#quo です。 quo の返り値のクラスは、被除数・除数のクラスによって異なります。例えば、被除数・除数の一方が Integer、他方が Float なら返り値は Float です。
普通の商を得るメソッドには、Numeric#fdiv もあります。これは商を Float で返します(被除数・除数の一方が Complex のときは Complex を返します)。
整数同士の除法の場合、quo は厳密値を Rational で返しますが、 fdiv では丸め誤差が生じうることに注意してください。
次に整除法に基づくメソッドについて述べます。
重要なことは、整除法の定義(言い換えれば整商・剰余の定義)がいくつもある、ということです。
しかし、どの定義にも共通していることが二つあります。
それは、被除数を x、除数を y としたときの整商を q、剰余を r とすると、第一に、
x == y * q + r (ただし q は整数)
が成り立つということです。第二に、剰余 r は「半端」ですから、r の絶対値は y の絶対値より小さくなくてはならないということです。
この二つを満たす整商・剰余の定義は何通りもありますが、 Ruby では、2通りの定義を採用し、剰余について Numeric#modulo メソッドと Numeric#remainder メソッドとして実装されています。
modulo は、
- y > 0 のとき 0 <= r < y
- y < 0 のとき y < r <= 0
となるように定められた剰余です。定義からすぐ分かるとおり、剰余 r の符号は除数 y の符号と一致します。
modulo の別名は % で、普通はメソッド呼び出しの形ではなく二項演算子の形で用います。
modulo に対応する整商は Numeric#div です。これは、普通の商を Numeric#floor で整数化したものと一致します。
さきほどの例で出てきた Numeric#divmod は、 div と modulo の値を一度に配列で返すメソッドです。
一方、remainder は
- x > 0 のとき 0 <= r < |y|
- x < 0 のとき -|y| < r <= 0
となるように定められた剰余です。定義からすぐ分かるとおり、剰余 r の符号は被除数 x の符号と一致します。
remainder に対応する整商を得るメソッドはありませんが、 x.quo(y).truncate で得ることができます。
x と y の符号が同じとき、modulo と remainder は一致します。
商を得るメソッドには Numeric#/ もあります。普通はメソッド呼び出しの形ではなく、二項演算子として用います。これは被除数・除数のクラスによって挙動が異なります。例えば Integer 同士なら div と同じ、Integer や Rational と Float なら quo と同じ、といった具合です。被除数のクラスの / メソッドの説明をご覧ください。
目次
- インスタンスメソッド
継承しているメソッド
インスタンスメソッド
modulo(other) -> Numeric
[permalink][rdoc][edit]self % other -> Numeric
-
self を other で割った余り r を返します。
ここで、商 q と余り r は、
- self == other * q + r
と
- other > 0 のとき 0 <= r < other
- other < 0 のとき other < r <= 0
- q は整数
をみたす数です。余り r は、other と同じ符号になります。商 q は、Numeric#div (あるいは 「/」)で求められます。 modulo はメソッド % の呼び出しとして定義されています。
- [PARAM] other:
- 自身を割る数を指定します。
p 13.modulo(4) #=> 1 p (11.5).modulo(3.5) #=> 1.0 p 13.modulo(-4) #=> -3 p (-13).modulo(4) #=> 3 p (-13).modulo(-4) #=> -1 p (-11).modulo(3.5) #=> 3.0
[SEE_ALSO] Numeric#divmod, Numeric#remainder
+ self -> self
[permalink][rdoc][edit]-
単項演算子の + です。 self を返します。
+ 10 # => 10 + (-10) # => -10 + 0.1 # => 0.1 + (3r) # => (3/1) + (1+3i) # => (1+3i)
- self -> Numeric
[permalink][rdoc][edit]-
単項演算子の - です。 self の符号を反転させたものを返します。
このメソッドは、二項演算子 - で 0 - self によって定義されています。
[SEE_ALSO] Integer#-@、Float#-@、Rational#-@、Complex#-@
self / other -> Numeric
[permalink][rdoc][edit]-
除算の演算子です。 self を other で割った商を返します。
Numeric では定義されておらず、サブクラスの実装によります。
[SEE_ALSO] Integer#/, Float#/, Rational#/, Complex#/
self <=> other -> -1 | 0 | 1 | nil
[permalink][rdoc][edit]-
自身が other より大きい場合に 1 を、等しい場合に 0 を、小さい場合には -1 をそれぞれ返します。自身と other が比較できない場合には nil を返します。
Numeric のサブクラスは、上の動作を満たすよう このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
- [PARAM] other:
- 自身と比較したい数値を指定します。
1 <=> 0 #=> 1 1 <=> 1 #=> 0 1 <=> 2 #=> -1 1 <=> "0" #=> nil
abs -> Numeric
[permalink][rdoc][edit]magnitude -> Numeric
-
自身の絶対値を返します。
12.abs #=> 12 (-34.56).abs #=> 34.56 -34.56.abs #=> 34.56
abs2 -> Numeric
[permalink][rdoc][edit]-
自身の絶対値の 2 乗を返します。
2.abs2 # => 4 -2.abs2 # => 4 2.0.abs2 # => 4 -2.0.abs2 # => 4
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
arg -> 0 | Math::PI
[permalink][rdoc][edit]angle -> 0 | Math::PI
phase -> 0 | Math::PI
-
自身の偏角(正の数なら 0、負の数なら Math::PI)を返します。
1.arg # => 0 -1.arg # => 3.141592653589793
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
[SEE_ALSO] Complex#arg
ceil -> Integer
[permalink][rdoc][edit]-
自身と等しいかより大きな整数のうち最小のものを返します。
1.ceil #=> 1 1.2.ceil #=> 2 (-1.2).ceil #=> -1 (-1.5).ceil #=> -1
[SEE_ALSO] Numeric#floor, Numeric#round, Numeric#truncate
coerce(other) -> [Numeric]
[permalink][rdoc][edit]-
自身と other が同じクラスになるよう、自身か other を変換し [other, self] という配列にして返します。
デフォルトでは self と other を Float に変換して [other, self] という配列にして返します。 Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。以下は Rational の coerce のソースです。other が自身の知らない数値クラスであった場合、 super を呼んでいることに注意して下さい。
# lib/rational.rb より def coerce(other) if other.kind_of?(Float) return other, self.to_f elsif other.kind_of?(Integer) return Rational.new!(other, 1), self else super end end
数値クラスの算術演算子は通常自分と演算できないクラスをオペランドとして受け取ると coerce を使って自分とオペランドを変換した上で演算を行います。以下は Rational の + メソッドを一部省略したものです。引数が自身の知らない数値クラスである場合、引数の coerce により自身を変換してから + 演算子を呼んでいます。
# lib/rational.rb より def + (a) if a.kind_of?(Rational) # 長いので省略 elsif a.kind_of?(Integer) # 長いので省略 elsif a.kind_of?(Float) Float(self) + a else x, y = a.coerce(self) x + y end end
- [PARAM] other:
- オペランドを数値で指定します。
conj -> Numeric
[permalink][rdoc][edit]conjugate -> Numeric
-
常に self を返します。
自身が Complex かそのサブクラスのインスタンスの場合は、自身の共役複素数(実数の場合は常に自身)を返します。
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
10.conj # => 10 0.1.conj # => 0.1 (2/3r).conj # => (2/3)
[SEE_ALSO] Complex#conj
denominator -> Integer
[permalink][rdoc][edit]-
自身を Rational に変換した時の分母を返します。
- [RETURN]
- 分母を返します。
[SEE_ALSO] Numeric#numerator、Integer#denominator、Float#denominator、Rational#denominator、Complex#denominator
div(other) -> Integer
[permalink][rdoc][edit]-
self を other で割った整数の商 q を返します。
ここで、商 q と余り r は、それぞれ
- self == other * q + r
と
- other > 0 のとき: 0 <= r < other
- other < 0 のとき: other < r <= 0
- q は整数
をみたす数です。商に対応する余りは Numeric#modulo で求められます。 div はメソッド / を呼びだし、floorを取ることで計算されます。
メソッド / の定義はサブクラスごとの定義を用います。
- [PARAM] other:
- 自身を割る数を指定します。
p 3.div(2) # => 1 p (-3).div(2) # => -2 p (-3.0).div(2) # => -2
divmod(other) -> [Numeric]
[permalink][rdoc][edit]-
self を other で割った商 q と余り r を、 [q, r] という 2 要素の配列にして返します。商 q は常に整数ですが、余り r は整数であるとは限りません。
ここで、商 q と余り r は、
- self == other * q + r
と
- other > 0 のとき: 0 <= r < other
- other < 0 のとき: other < r <= 0
- q は整数
をみたす数です。 divmod が返す商は Numeric#div と同じです。また余りは、Numeric#modulo と同じです。このメソッドは、メソッド / と % によって定義されています。
- [PARAM] other:
- 自身を割る数を指定します。
11.divmod(3) #=> [3, 2] (11.5).divmod(3.5) #=> [3, 1.0] 11.divmod(-3) #=> [-4, -1] 11.divmod(3.5) #=> [3, 0.5] (-11).divmod(3.5) #=> [-4, 3.0]
[SEE_ALSO] Numeric#div, Numeric#modulo
eql?(other) -> bool
[permalink][rdoc][edit]-
自身と other のクラスが等しくかつ == メソッドで比較して等しい場合に true を返します。そうでない場合に false を返します。
Numeric のサブクラスは、eql? で比較して等しい数値同士が同じハッシュ値を返すように hash メソッドを適切に定義する必要があります。
- [PARAM] other:
- 自身と比較したい数値を指定します。
p 1.eql?(1) #=> true p 1.eql?(1.0) #=> false p 1 == 1.0 #=> true
[SEE_ALSO] Object#equal?, Object#eql?, Object#==, Object#===
fdiv(other) -> Float | Complex
[permalink][rdoc][edit]-
self を other で割った商を Float で返します。ただし Complex が関わる場合は例外です。その場合も成分は Float になります。
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
- [PARAM] other:
- 自身を割る数を指定します。
1.fdiv(3) #=> 0.3333333333333333 Complex(1, 1).fdiv 1 #=> (1.0+1.0i) 1.fdiv Complex(1, 1) #=> (0.5-0.5i)
[SEE_ALSO] Numeric#quo
finite? -> bool
[permalink][rdoc][edit]-
self の絶対値が有限値の場合に true を、そうでない場合に false を返します。
10.finite? # => true Rational(3).finite? # => true Float::INFINITY.finite? # => false Float::INFINITY.is_a?(Numeric) # => true
[SEE_ALSO] Numeric#infinite?
floor(ndigits = 0) -> Integer
[permalink][rdoc][edit]-
自身と等しいかより小さな整数のうち最大のものを返します。
- [PARAM] ndigits:
- 10進数での小数点以下の有効桁数を整数で指定します。負の整数を指定した場合、小数点位置から左に少なくとも n 個の 0 が並びます。
1.floor #=> 1 1.2.floor #=> 1 (-1.2).floor #=> -2 (-1.5).floor #=> -2
[SEE_ALSO] Numeric#ceil, Numeric#round, Numeric#truncate
[SEE_ALSO] Integer#floor
i -> Complex
[permalink][rdoc][edit]-
Complex(0, self) を返します。
ただし、Complex オブジェクトでは利用できません。
10.i # => (0+10i) -10.i # => (0-10i) (0.1).i # => (0+0.1i) Rational(1, 2).i # => (0+(1/2)*i)
imag -> 0
[permalink][rdoc][edit]imaginary -> 0
-
常に 0 を返します。
12.imag # => 0 -12.imag # => 0 1.2.imag # => 0 -1.2.imag # => 0
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
[SEE_ALSO] Numeric#real、Complex#imag
infinite? -> nil
[permalink][rdoc][edit]-
常に nil を返します。自身が Float かComplex、もしくはそのサブクラスのインスタンスの場合は、self の絶対値が負の無限大の場合に-1を、正の無限大の場合に1を、有限値の場合に nil を返します。
10.infinite? # => nil (3r).infinite? # => nil
[SEE_ALSO] Numeric#finite?、Float#infinite?、Complex#infinite?
integer? -> bool
[permalink][rdoc][edit]-
自身が Integer かそのサブクラスのインスタンスの場合にtrue を返します。そうでない場合に false を返します。
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
(1.0).integer? #=> false (1).integer? #=> true
[SEE_ALSO] Numeric#real?
negative? -> bool
[permalink][rdoc][edit]-
self が 0 未満の場合に true を返します。そうでない場合に false を返します。
-1.negative? # => true 0.negative? # => false 1.negative? # => false
[SEE_ALSO] Numeric#positive?
nonzero? -> self | nil
[permalink][rdoc][edit]-
自身がゼロの時 nil を返し、非ゼロの時 self を返します。
p 10.nonzero? #=> 10 p 0.nonzero? #=> nil p 0.0.nonzero? #=> nil p Rational(0, 2).nonzero? #=> nil
非ゼロの時に self を返すため、自身が 0 の時に他の処理をさせたい場合に以下のように記述する事もできます。
a = %w( z Bb bB bb BB a aA Aa AA A ) b = a.sort {|a,b| (a.downcase <=> b.downcase).nonzero? || a <=> b } b #=> ["A", "a", "AA", "Aa", "aA", "BB", "Bb", "bB", "bb", "z"]
[SEE_ALSO] Numeric#zero?
numerator -> Integer
[permalink][rdoc][edit]-
自身を Rational に変換した時の分子を返します。
- [RETURN]
- 分子を返します。
[SEE_ALSO] Numeric#denominator、Integer#numerator、Float#numerator、Rational#numerator、Complex#numerator
polar -> [Numeric, Numeric]
[permalink][rdoc][edit]-
自身の絶対値と偏角を配列にして返します。正の数なら [self, 0]、負の数なら [-self, Math::PI] を返します。
1.0.polar # => [1.0, 0] 2.0.polar # => [2.0, 0] -1.0.polar # => [1.0, 3.141592653589793] -2.0.polar # => [2.0, 3.141592653589793]
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
[SEE_ALSO] Complex#polar
positive? -> bool
[permalink][rdoc][edit]-
self が 0 より大きい場合に true を返します。そうでない場合に false を返します。
1.positive? # => true 0.positive? # => false -1.positive? # => false
[SEE_ALSO] Numeric#negative?
quo(other) -> Rational | Float | Complex
[permalink][rdoc][edit]-
self を other で割った商を返します。整商を得たい場合は Numeric#div を使ってください。
Numeric#fdiv が結果を Float で返すメソッドなのに対して quo はなるべく正確な数値を返すことを意図しています。具体的には有理数の範囲に収まる計算では Rational の値を返します。 Float や Complex が関わるときはそれらのクラスになります。
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
- [PARAM] other:
- 自身を割る数を指定します。
1.quo(3) #=> (1/3) 1.0.quo(3) #=> 0.3333333333333333 1.quo(3.0) #=> 0.3333333333333333 1.quo(0.5) #=> 2.0 Complex(1, 1).quo(1) #=> ((1/1)+(1/1)*i) 1.quo(Complex(1, 1)) #=> ((1/2)-(1/2)*i)
[SEE_ALSO] Numeric#fdiv
real -> Numeric
[permalink][rdoc][edit]-
自身を返します。
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
10.real # => 10 -10.real # => -10 0.1.real # => 0.1 Rational(2, 3).real # => (2/3)
[SEE_ALSO] Numeric#imag、Complex#real
real? -> bool
[permalink][rdoc][edit]-
常に true を返します。(Complex またはそのサブクラスではないことを意味します。)
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
10.real? # => true -10.real? # => true 0.1.real? # => true Rational(2, 3).real? # => true
[SEE_ALSO] Numeric#integer?、Complex#real?
rect -> [Numeric, Numeric]
[permalink][rdoc][edit]rectangular -> [Numeric, Numeric]
-
[self, 0] を返します。
1.rect # => [1, 0] -1.rect # => [-1, 0] 1.0.rect # => [1.0, 0] -1.0.rect # => [-1.0, 0]
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
[SEE_ALSO] Complex#rect
remainder(other) -> Numeric
[permalink][rdoc][edit]-
self を other で割った余り r を返します。
ここで、商 q と余り r は、
- self == other * q + r
と
- self > 0 のとき 0 <= r < |other|
- self < 0 のとき -|other| < r <= 0
- q は整数
をみたす数です。r の符号は self と同じになります。商 q を直接返すメソッドはありません。self.quo(other).truncate がそれに相当します。
- [PARAM] other:
- 自身を割る数を指定します。
p 13.remainder(4) #=> 1 p (11.5).remainder(3.5) #=> 1.0 p 13.remainder(-4) #=> 1 p (-13).remainder(4) #=> -1 p (-13).remainder(-4) #=> -1 p (-11).remainder(3.5) #=> -0.5
[SEE_ALSO] Numeric#divmod, Numeric#modulo
round -> Integer
[permalink][rdoc][edit]-
自身ともっとも近い整数を返します。
中央値 0.5, -0.5 はそれぞれ 1,-1 に切り上げされます。いわゆる四捨五入ですが、偶数丸めではありません。
1.round #=> 1 1.2.round #=> 1 (-1.2).round #=> -1 (-1.5).round #=> -2
[SEE_ALSO] Numeric#ceil, Numeric#floor, Numeric#truncate
step(limit, step = 1) {|n| ... } -> self
[permalink][rdoc][edit]step(limit, step = 1) -> Enumerator
step(limit, step = 1) -> Enumerator::ArithmeticSequence
step(by: 1, to: Float::INFINITY) {|n| ... } -> self
step(by: 1, to: Float::INFINITY) -> Enumerator
step(by: 1, to: Float::INFINITY) -> Enumerator::ArithmeticSequence
step(by:, to: -Float::INFINITY) {|n| ... } -> self
step(by:, to: -Float::INFINITY) -> Enumerator
step(by:, to: -Float::INFINITY) -> Enumerator::ArithmeticSequence
-
self からはじめ step を足しながら limit を越える前までブロックを繰り返します。step は負の数も指定できます。また、limit や step には Float なども指定できます。
- [PARAM] limit:
- ループの上限あるいは下限を数値で指定します。step に負の数が指定された場合は、下限として解釈されます。
- [PARAM] step:
- 各ステップの大きさを数値で指定します。負の数を指定することもできます。
- [PARAM] to:
- 引数limitと同じですが、省略した場合はキーワード引数byが正の数であれば Float::INFINITY、負の数であれば -Float::INFINITYを指定したとみなされます。
- [PARAM] by:
- 引数 step と同じです。
- [RETURN]
- ブロックが指定された時は self を返します。
- [RETURN]
- ブロックが指定されなかった時は Enumerator を返します。
- [RETURN]
- 特に limit (または to) と step の両方が Numeric または nil の時は Enumerator::ArithmeticSequence を返します。
- [EXCEPTION] ArgumentError:
- step に 0 を指定した場合に発生します。
2.step(5){|n| p n} 2 3 4 5 1.1.step(1.5, 0.1) {|n| p n} 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 10.step(6, -1){|n| p n} 10 9 8 7 6 3.step(by:2, to:10){|n| p n} 3 5 7 9
注:浮動小数点数の 0.1 は 2進数では正確な表現ができない(2進数で 0.1は 0.00011001100....となる)ので、以下のようなループでは誤差が生じて意図した回数ループしないことがある。step はこの誤差を考慮して実装されている。
i = 1.1 while i <= 1.5 p i i += 0.1 end # => 1.1 # 1.2 # 1.3 # 1.4 <- 1.5 が表示されない
[SEE_ALSO] Integer#downto
to_c -> Complex
[permalink][rdoc][edit]-
自身を複素数 (Complex) に変換します。Complex(self, 0) を返します。
1.to_c # => (1+0i) -1.to_c # => (-1+0i) 1.0.to_c # => (1.0+0i) Rational(1, 2).to_c # => ((1/2)+0i)
Numeric のサブクラスは、このメソッドを適切に再定義しなければなりません。
to_int -> Integer
[permalink][rdoc][edit]-
self.to_i と同じです。
(2+0i).to_int # => 2 Rational(3).to_int # => 3
truncate -> Integer
[permalink][rdoc][edit]-
0 から 自身までの整数で、自身にもっとも近い整数を返します。
1.truncate #=> 1 1.2.truncate #=> 1 (-1.2).truncate #=> -1 (-1.5).truncate #=> -1
[SEE_ALSO] Numeric#ceil, Numeric#floor, Numeric#round
zero? -> bool
[permalink][rdoc][edit]-
自身がゼロの時、trueを返します。そうでない場合は false を返します。
p 10.zero? #=> false p 0.zero? #=> true p 0.0.zero? #=> true
[SEE_ALSO] Numeric#nonzero?