Ruby 1.8.7 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > threadライブラリ > Mutexクラス

class Mutex

クラスの継承リスト: Mutex < Object < Kernel

要約

Mutex(Mutal Exclusion = 相互排他ロック)は共有データを並行アクセスから保護する ためにあります。Mutex の典型的な使い方は(m を Mutex オブジェクトとします):

m.lock
begin
  # m によって保護されたクリティカルセクション
ensure
  m.unlock
end

または、より簡単に

m.synchronize {
  # m によって保護されたクリティカルセクション
}

目次

特異メソッド
new
インスタンスメソッド
exclusive_unlock lock locked? synchronize try_lock unlock

特異メソッド

new -> Mutex[permalink][rdoc]

新しい mutex を生成して返します。

インスタンスメソッド

exclusive_unlock { ... } -> self | nil[permalink][rdoc]

ロックを解放し、ロック待ちになっているスレッドを実行可能状態に した後、ブロックを実行します。

ブロックの実行が終了するまで、スレッドは切り替わりません。

[RETURN]
self がロックされていなければ nil を返します。そうでなければself を返します。
lock -> self[permalink][rdoc]

mutex オブジェクトをロックします。一度に一つのス レッドだけが mutex をロックできます。既にロックされている mutex に対してロックを行おうとしたスレッドは mutex のロックが解放さ れるまで、実行が停止されます。

[EXCEPTION] ThreadError:
self 既にカレントスレッドにロックされている場合に発 生します。
locked? -> bool[permalink][rdoc]

mutex がロックされている時、真を返します。

synchronize { ... } -> object[permalink][rdoc]

mutex をロックし、ブロックを実行します。実行後に必ず mutex のロックを解放します。

ブロックが最後に評価した値を返します。

[EXCEPTION] ThreadError:
self 既にカレントスレッドにロックされている場合に発 生します。
try_lock -> bool[permalink][rdoc]

mutex をロックしようとして、ロックが成功した場合、真を返します。 ロックできなかった場合にはブロックせず偽を返します。

unlock -> self | nil[permalink][rdoc]

mutex のロックを解放します。mutex のロック待ちになっていたスレッドの実行は再開されます。

[RETURN]
self がロックされていなければ nil を返します。そうでなければself を返します。

例:

m = Mutex.new
begin
  m.lock
  # critical part
ensure
  m.unlock
end