Ruby 2.1.0 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > fiddleライブラリ

library fiddle

要約

*.dllや*.soなど、ダイナミックリンクライブラリを扱うためのライブラリです。

dl と同等の機能を持ちますが、 dl は 2.0 以降deprecated となり、2.2.0 で削除されました。このライブラリ を代わりに使います。

使い方

通常は fiddle/import ライブラリを require して Fiddle::Importer モジュールを使用します。 dl と基本的な使いかたは良く似ています。 Fiddle モジュール自体はプリミティブな機能しか提供していません。 Fiddle::Importer モジュールは以下のようにユーザが定義した モジュールを拡張する形で使います。

require "fiddle/import"
module M
  extend Fiddle::Importer
end

以後、このモジュールで dlload や extern などのメソッドが使用できるようになります。 以下のように dlload を使ってライブラリをロードし、 使用したいライブラリ関数に対して extern メソッドを呼んで ラッパーメソッドを定義します。

require "fiddle/import"
module M
  extend Fiddle::Importer
  dlload "libc.so.6","libm.so.6"
  extern "int strlen(char*)"
end
# Note that we should not include the module M from some reason.

p M.strlen('abc') #=> 3

M.strlen を使用することで、ライブラリ関数 strlen() を使用できます。

構造体を扱う

構造体も扱うことができます。たとえば gettimeofday(2) を使って現在時刻を得たい場合は以下のとおりです。

require 'fiddle/import'
module M
  extend Fiddle::Importer
  dlload "libc.so.6"
  extern('int gettimeofday(void *, void *)')
  Timeval = struct( ["long tv_sec",
                     "long tv_usec"])
end

timeval = M::Timeval.malloc
e = M.gettimeofday(timeval, nil)

if e == 0
 p timeval.tv_sec #=> 1173519547
end

上の例で、メモリの割り当てに M::Timeval.new ではなく M::Timeval.malloc を使用していることに注意してください。

コールバック

以下のようにモジュール関数 bind を使用したコールバックを定義できます。

require 'fiddle/import'
module M
  extend Fiddle::Importer
  dlload "libc.so.6"
  QsortCallback = bind("void *qsort_callback2(void*,void*)"){|ptr1,ptr2|
    ptr1[0] <=> ptr2[0]
  }
  type
  extern 'void qsort(void *, int, int, void *)'
end

buff = "3465721"
M.qsort(buff, buff.size, 1, M::QsortCallback)
p buff #=>   "1234567"

ここで M::QsortCallback はブロックを呼ぶ Fiddle::Function オブジェクトです。

ポインタを扱う

fiddle においては、文字列/整数/Fiddle::Pointerをポインタとして 扱うことができます。 文字列をポインタ引数として渡すと文字列のメモリ領域を指す ポインタとして扱われます。

require 'fiddle/import'

module M
  extend Fiddle::Importer
  dlload 'libc.so.6'
  extern 'void * memmove(void *, void *, unsigned long)'
end

s = 'xxxyyyzzz'
M.memmove(s, 'abc', 3)
p s                    #=> "abcyyyzzz"

char * 以外の型のポインタを受け取る関数に対しても文字列を渡します。

module M
  extend Fiddle::Importer
  dlload 'libm.so.6'
  extern 'double modf(double, double *)'
end

s = ' ' * 8
p M2.modf(1.25, s)  #=> 0.25
p s.unpack('d')[0]  #=> 1.0

関数の引数と返り値

fiddle でインポートした C の関数を呼び出すとき、 その引数と返り値はインポートする際に指定した型と Ruby のオブジェクトの種類によって変換されます。

引数の変換は以下の通りです。

void* (つまり任意のポインタ型)

nil ならば C の NULL に変換されます Fiddle::Pointer は保持している C ポインタに変換されます。 文字列であればその先頭ポインタになります。 IO オブジェクトであれば FILE* が渡されます。 整数であればそれがアドレスとみなされます。 to_ptr を持っているならば、それを呼びだし Fiddle::Pointer に 変換したものを用います。 to_i を持っているならば、それを呼びだし結果の整数を アドレスと見なします

(unsigned) char/short/int/long/long long

Ruby の整数を C の整数に変換します。

double/float

Ruby の整数 or 浮動小数点数を C の浮動小数点数に変換します

返り値の変換は以下の通りです。

void

nil を返します

(unsigned) char/short/int/long/long long

C の整数を Ruby の整数に変換します

void*(つまり任意のポインタ型)

C のポインタを保持した Fiddle::Pointer を返します。

クラス

Fiddle::Closure

コールバック関数を表すクラスです。

  Fiddle::Closure::BlockCaller

Ruby のブロックをラップしたコールバック関数を表すクラスです。

Fiddle::Function

C の関数を表すクラスです。

Fiddle::Handle

オープンされたダイナミックライブラリを表すクラスです。

Fiddle::Pointer

メモリ領域を表すクラスです。C 言語のポインタに相当します。

モジュール

Fiddle

fiddle の名前空間をなすモジュールです。

例外クラス

Fiddle::DLError

Fiddle のエラー全般を表すクラス。

サブライブラリ

fiddle/import

fiddle ライブラリのための高レベルインターフェースを提供するライブラリです。

fiddle/types

C の型の別名を定義するライブラリです。