Ruby 2.0.0 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > readlineライブラリ > Readlineモジュール
クラスの継承リスト: Readline
GNU Readline によるコマンドライン入力インタフェースを提供するモジュールです。
GNU Readline 互換ライブラリのひとつである Edit Line(libedit) もサポートしています。
Readline.readline を使用してユーザからの入力を取得できます。 このとき、 GNU Readline のように入力の補完や Emacs のようなキー操作などができます。
例: プロンプト"> "を表示して、ユーザからの入力を取得する。
while buf = Readline.readline("> ", true) print("-> ", buf, "\n") end
ユーザが入力した内容を履歴(以下、ヒストリ)として記録することができます。 定数 Readline::HISTORY を使用して入力履歴にアクセスできます。 例えば、Readline::HISTORY.to_a により、 全ての入力した内容を文字列の配列として取得できます。
例: ヒストリを配列として取得する。
while buf = Readline.readline("> ", true) p Readline::HISTORY.to_a print("-> ", buf, "\n") end
basic_quote_characters -> String
[permalink][rdoc]スペースなどの単語の区切りをクオートするための 複数の文字で構成される文字列を取得します。
[SEE_ALSO] Readline.basic_quote_characters=
basic_quote_characters=(string)
[permalink][rdoc]スペースなどの単語の区切りをクオートするための 複数の文字で構成される文字列 string を指定します。
GNU Readline のデフォルト値は、「"'」です。
[SEE_ALSO] Readline.basic_quote_characters
basic_word_break_characters -> String
[permalink][rdoc]ユーザの入力の補完を行う際、 単語の区切りを示す複数の文字で構成される文字列を取得します。
[SEE_ALSO] Readline.basic_word_break_characters=
basic_word_break_characters=(string)
[permalink][rdoc]ユーザの入力の補完を行う際、 単語の区切りを示す複数の文字で構成される文字列 string を指定します。
GNU Readline のデフォルト値は、Bash の補完処理で使用している文字列 " \t\n\"\\'`@$><=;|&{(" (スペースを含む) になっています。
[SEE_ALSO] Readline.basic_word_break_characters
completer_quote_characters -> String
[permalink][rdoc]ユーザの入力の補完を行う際、スペースなどの単語の区切りを クオートするための複数の文字で構成される文字列を取得します。
[SEE_ALSO] Readline.completer_quote_characters=
completer_quote_characters=(string)
[permalink][rdoc]ユーザの入力の補完を行う際、スペースなどの単語の区切りを クオートするための複数の文字で構成される文字列 string を指定します。 指定した文字の間では、Readline.completer_word_break_characters= で指定した文字列に含まれる文字も、普通の文字列として扱われます。
[SEE_ALSO] Readline.completer_quote_characters
completer_word_break_characters -> String
[permalink][rdoc]ユーザの入力の補完を行う際、 単語の区切りを示す複数の文字で構成された文字列を取得します。 Readline.basic_word_break_characters との違いは、 GNU Readline の rl_complete_internal 関数で使用されることです。
[SEE_ALSO] Readline.completer_word_break_characters=
completer_word_break_characters=(string)
[permalink][rdoc]ユーザの入力の補完を行う際、 単語の区切りを示す複数の文字で構成される文字列 string を指定します。 Readline.basic_word_break_characters= との違いは、 GNU Readline の rl_complete_internal 関数で使用されることです。
GNU Readline のデフォルトの値は、 Readline.basic_word_break_characters と同じです。
[SEE_ALSO] Readline.completer_word_break_characters
completion_append_character -> String
[permalink][rdoc]ユーザの入力の補完が完了した場合に、最後に付加する文字を取得します。
[SEE_ALSO] Readline.completion_append_character=
completion_append_character=(string)
[permalink][rdoc]ユーザの入力の補完が完了した場合に、最後に付加する文字 string を指定します。
半角スペース「" "」などの単語を区切る文字を指定すれば、 連続して入力する際に便利です。
Readline.readline("> ", true) Readline.completion_append_character = " " > /var/li ここで補完(TABキーを押す)を行う。 > /var/lib 最後に" "が追加されているため、すぐに「/usr」などを入力できる。 > /var/lib /usr
なお、1文字しか指定することはできないため、 例えば、"string"を指定した場合は最初の文字である"s"だけを使用します。
Readline.completion_append_character = "string" p Readline.completion_append_character # => "s"
[SEE_ALSO] Readline.completion_append_character
completion_case_fold -> bool
[permalink][rdoc]ユーザの入力を補完する際、大文字と小文字を同一視する/しないを取得します。 bool が真ならば同一視します。bool が偽ならば同一視しません。
なお、Readline.completion_case_fold= メソッドで指定したオブジェクトを そのまま取得するので、次のような動作をします。
Readline.completion_case_fold = "This is a String." p Readline.completion_case_fold # => "This is a String."
[SEE_ALSO] Readline.completion_case_fold=
completion_case_fold=(bool)
[permalink][rdoc]ユーザの入力を補完する際、大文字と小文字を同一視する/しないを指定します。 bool が真ならば同一視します。bool が偽ならば同一視しません。
[SEE_ALSO] Readline.completion_case_fold
completion_proc -> Proc
[permalink][rdoc]ユーザからの入力を補完する時の候補を取得する Proc オブジェクト proc を取得します。
[SEE_ALSO] Readline.completion_proc=
completion_proc=(proc)
[permalink][rdoc]ユーザからの入力を補完する時の候補を取得する Proc オブジェクト proc を指定します。 proc は、次のものを想定しています。
「/var/lib /v」の後で補完を行うと、 デフォルトでは proc の引数に「/v」が渡されます。 このように、ユーザが入力した文字列を Readline.completer_word_break_characters に含まれる文字で区切ったものを単語とすると、 カーソルがある単語の最初の文字から現在のカーソル位置までの文字列が proc の引数に渡されます。
例: foo、foobar、foobazを補完する。
require 'readline' WORDS = %w(foo foobar foobaz) Readline.completion_proc = proc {|word| WORDS.grep(/\A#{Regexp.quote word}/) } while buf = Readline.readline("> ") print "-> ", buf, "\n" end
[SEE_ALSO] Readline.completion_proc
emacs_editing_mode -> nil
[permalink][rdoc]編集モードを Emacs モードにします。デフォルトは Emacs モードです。
Emacs モードの詳細は、 GNU Readline のマニュアルを参照してください。
filename_quote_characters -> String
[permalink][rdoc]ユーザの入力時にファイル名の補完を行う際、スペースなどの単語の区切りを クオートするための複数の文字で構成される文字列を取得します。
[SEE_ALSO] Readline.filename_quote_characters=
filename_quote_characters=(string)
[permalink][rdoc]ユーザの入力時にファイル名の補完を行う際、スペースなどの単語の区切りを クオートするための複数の文字で構成される文字列 string を指定します。
GNU Readline のデフォルト値は nil(NULL) です。
[SEE_ALSO] Readline.filename_quote_characters
get_screen_size -> [Integer, Integer]
[permalink][rdoc]端末のサイズを [rows, columns] で返します。
[SEE_ALSO] GNU Readline ライブラリの rl_get_screen_size 関数
input=(input)
[permalink][rdoc]readline メソッドで使用する入力用の File オブジェクト input を指定します。 戻り値は指定した File オブジェクト input です。
output=(output)
[permalink][rdoc]readline メソッドで使用する出力用の File オブジェクト output を指定します。 戻り値は指定した File オブジェクト output です。
set_screen_size(rows, columns) -> Readline
[permalink][rdoc]端末のサイズを引数 row、columns に設定します。
[SEE_ALSO] GNU Readline ライブラリの rl_set_screen_size 関数
vi_editing_mode -> nil
[permalink][rdoc]編集モードを vi モードにします。 vi モードの詳細は、GNU Readline のマニュアルを参照してください。
readline(prompt = "", add_hist = false) -> String | nil
[permalink][rdoc]prompt を出力し、ユーザからのキー入力を待ちます。 エンターキーの押下などでユーザが文字列を入力し終えると、 入力した文字列を返します。 このとき、add_hist が true であれば、入力した文字列を入力履歴に追加します。 何も入力していない状態で EOF(UNIX では ^D) を入力するなどで、 ユーザからの入力がない場合は nil を返します。
本メソッドはスレッドに対応しています。 入力待ち状態のときはスレッドコンテキストの切替えが発生します。
入力時には行内編集が可能で、vi モードと Emacs モードが用意されています。 デフォルトは Emacs モードです。
例:
require "readline" input = Readline.readline (プロンプトなどは表示せずに、入力待ちの状態になります。 ここでは「abc」を入力後、エンターキーを押したと想定します。) abc p input # => "abc" input = Readline.readline("> ") (">"を表示し、入力待ちの状態になります。 ここでは「ls」を入力後、エンターキーを押したと想定します。) > ls p input # => "ls" input = Readline.readline("> ", true) (">"を表示し、入力待ちの状態になります。 ここでは「cd」を入力後、エンターキーを押したと想定します。) > cd p input # => "cd" input = Readline.readline("> ", true) (">"を表示し、入力待ちの状態になります。 ここで、カーソルの上キー、または ^P を押すと、 先ほど入力した「cd」が表示されます。 そして、エンターキーを押したと想定します。) > cd p input # => "cd"
本メソッドには注意事項があります。 入力待ちの状態で ^C すると ruby インタプリタが終了し、端末状態を復帰しません。 これを回避するための例を2つ挙げます。
例: ^CによるInterrupt例外を補足して、端末状態を復帰する。
stty_save = `stty -g`.chomp begin while buf = Readline.readline p buf end rescue Interrupt system("stty", stty_save) exit end end end
例: INTシグナルを補足して、端末状態を復帰する。
stty_save = `stty -g`.chomp trap("INT") { system "stty", stty_save; exit } while buf = Readline.readline p buf end
また、単に ^C を無視する方法もあります。
trap("INT", "SIG_IGN") while buf = Readline.readline p buf end
入力履歴 Readline::HISTORY を使用して、次のようなこともできます。
例: 空行や直前の入力と同じ内容は入力履歴に残さない。
while buf = Readline.readline("> ", true) # p Readline::HISTORY.to_a Readline::HISTORY.pop if /^\s*$/ =~ buf begin if Readline::HISTORY[Readline::HISTORY.length-2] == buf Readline::HISTORY.pop end rescue IndexError end # p Readline::HISTORY.to_a print "-> ", buf, "\n" end
[SEE_ALSO] Readline.vi_editing_mode、Readline.emacs_editing_mode、 Readline::HISTORY
FILENAME_COMPLETION_PROC -> Proc
[permalink][rdoc]GNU Readline で定義されている関数を使用してファイル名の補完を行うための Proc オブジェクトです。 Readline.completion_proc= で使用します。
[SEE_ALSO] Readline.completion_proc=
USERNAME_COMPLETION_PROC -> Proc
[permalink][rdoc]GNU Readline で定義されている関数を使用してユーザ名の補完を行うための Proc オブジェクトです。 Readline.completion_proc= で使用します。
[SEE_ALSO] Readline.completion_proc=
VERSION -> String
[permalink][rdoc]Readlineモジュールが使用している GNU Readline や libedit のバージョンを 示す文字列です。