Ruby 2.3.0 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > 組み込みライブラリ > Thread::Mutexクラス
クラスの継承リスト: Thread::Mutex
< Object
< Kernel
< BasicObject
aliases: Mutex
Mutex(Mutal Exclusion = 相互排他ロック)は共有データを並行アクセスから保護する ためにあります。Mutex の典型的な使い方は(m を Mutex オブジェクトとします):
m.lock begin # m によって保護されたクリティカルセクション ensure m.unlock end
または、より簡単に
m.synchronize { # m によって保護されたクリティカルセクション }
new -> Thread::Mutex
[permalink][rdoc]新しい mutex を生成して返します。
lock -> self
[permalink][rdoc]mutex オブジェクトをロックします。一度に一つのス レッドだけが mutex をロックできます。既にロックされている mutex に対してロックを行おうとしたスレッドは mutex のロックが解放さ れるまで、実行が停止されます。
locked? -> bool
[permalink][rdoc]mutex がロックされている時、真を返します。
owned? -> bool
[permalink][rdoc]self がカレントスレッドによってロックされている場合に true を返します。 そうでない場合に false を返します。
sleep(timeout = nil) -> self
[permalink][rdoc]与えられた秒数の間スリープしてからロックを解放します。
[注意] 2.0 以降ではスリープ中でも、シグナルを受信した場合などに実行が再 開(spurious wakeup)される場合がある点に注意してください。
synchronize { ... } -> object
[permalink][rdoc]mutex をロックし、ブロックを実行します。実行後に必ず mutex のロックを解放します。
ブロックが最後に評価した値を返します。
m = Mutex.new
result = m.synchronize do
m.locked? # => true
# critical part
"result"
end
m.locked? # => false
result # => "result"
try_lock -> bool
[permalink][rdoc]mutex をロックしようとして、ロックが成功した場合、真を返します。 ロックできなかった場合にはブロックせず偽を返します。
unlock -> self
[permalink][rdoc]mutex のロックを解放します。mutex のロック待ちになっていたスレッドの実行は再開されます。
例:
m = Mutex.new begin m.lock # critical part ensure m.unlock end
Mutex はロックしたスレッド以外からロックを開放することは出来ません。 ロックしたスレッド以外から unlock が呼ばれると ThreadError が発生します。
m = Mutex.new m.lock Thread.new do m.unlock # => ThreadError end.join