Ruby 1.9.3 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > opensslライブラリ > OpenSSL::PKey::RSAクラス

class OpenSSL::PKey::RSA

クラスの継承リスト: OpenSSL::PKey::RSA < OpenSSL::PKey::PKey < Object < Kernel < BasicObject

要約

RSA 暗号鍵のクラスです。

通常このクラスで利用するのは、 OpenSSL::PKey::RSA.generate, OpenSSL::PKey::RSA.new, OpenSSL::PKey::RSA#public?, OpenSSL::PKey::RSA#private?, OpenSSL::PKey::RSA#public_key, OpenSSL::PKey::RSA#to_text, OpenSSL::PKey::RSA#to_pem, OpenSSL::PKey::RSA#to_der のいずれかでしょう。これ以外のメソッドを利用するときは RSA についてよく理解し、必要な場合のみにすべきです。

例:

# initialize random seed
OpenSSL::Random.seed(File.read("/dev/random", 16))
# 鍵対を生成
rsa = OpenSSL::PKey::RSA.generate(2048)
# 秘密鍵をAES256で暗号化して private_key.pem に PEM 形式で保存
passphrase = "!secret passphrase!"
File.open("private_key.pem", "w") do |f|
  f.write(rsa.export(OpenSSL::Cipher::Cipher.new("aes256"), passphrase))
end
# 公開鍵をpublic_key.pemに保存
public_key = rsa.public_key
File.open("public_key.pem", "w") do |f|
  f.write(public_key.export)
end

# 秘密鍵で署名
data = "foobar"
sign = rsa.sign("sha256", data)
# 公開鍵で検証
p public_key.verify("sha256", sign, data)
# 不正なデータを検証
p public_key.verify("sha256", sign, "foobarbaz")

目次

特異メソッド
generate new
インスタンスメソッド
d d= dmp1 dmp1= dmq1 dmq1= e e= export to_pem to_s iqmp iqmp= n n= p p= params private? private_decrypt private_encrypt public? public_decrypt public_encrypt public_key q q= to_der to_text
定数
NO_PADDING PKCS1_OAEP_PADDING PKCS1_PADDING SSLV23_PADDING

特異メソッド

generate(size, exponent = 65537) -> OpenSSL::PKey::RSA[permalink][rdoc]
generate(size, exponent = 65537) {|u,n| ... } -> OpenSSL::PKey::RSA

乱数により RSA 公開鍵と秘密鍵のペアを生成して、RSA オブジェクトを返します。

このメソッドを呼ぶ前に OpenSSL::Random の各モジュール関数に よって乱数が適切に初期化されている必要があります。

size で鍵の modulus のビット数つまりは鍵のサイズを指定します。 最低でも1024を指定してください。 exponent で public exponent を指定します。exponent には奇数を指定し、 大抵の場合、3、17 あるいは 65537 を指定します。

このメソッドにブロックが渡された場合には、鍵生成の途中経過の 情報を引数としてブロックが呼び出されます。

RSA 鍵ペアの生成には時間がかかるため、鍵生成の途中経過を ユーザに表示したい場合にこの機能を使います。

[PARAM] size:
鍵のサイズ
[PARAM] exponent:
public exponent
new -> OpenSSL::PKey::RSA[permalink][rdoc]
new(size, exponent = 65537) -> OpenSSL::PKey::RSA
new(size, exponent = 65537) {|u,n| ... } -> OpenSSL::PKey::RSA
new(obj, pass = nil) -> OpenSSL::PKey::RSA
new(obj, pass = nil) {|flag| ... } -> OpenSSL::PKey::RSA

RSA 暗号鍵オブジェクトを生成します。

引数なしの場合は空の RSA オブジェクトを返します。

第一引数に整数を指定した場合には、OpenSSL::PKey::RSA.generate により 公開鍵と秘密鍵のペアを生成し、それを返します。

それ以外の場合には、以下のようにして鍵データを読みこみ、RSA オブジェクト を生成します。

pass が指定された場合は、秘密鍵を pass を使って復号化します。

鍵データにパスフレーズが設定されているにもかかわらず、passが省略された場合は、 渡されたブロックを呼びだしてパスフレーズを要求します。ブロックの返り値を パスフレーズとみなして復号します。ブロックの引数は通常は false が渡されますが、 これはそのパスフレーズが秘密鍵の復号に使われることを意味します。 ブロックが渡されなかった場合にはターミナルに問い合わせをします。

[PARAM] size:
鍵生成をする場合の鍵のサイズ
[PARAM] exponent:
public exponent
[PARAM] obj:
鍵データ
[PARAM] pass:
鍵データに設定したパスフレーズ
[EXCEPTION] OpenSSL::PKey::RSAError:
鍵の読み込みに失敗した場合に発生します。

インスタンスメソッド

d -> OpenSSL::BN[permalink][rdoc]

鍵の private exponent です。

これは秘密鍵の一部です。

d=(new_d)[permalink][rdoc]

private exponent を設定します。

通常このメソッドで値を変更することはありません。 よく考えて必要な場合のみ利用してください。

[PARAM] new_d:
設定する整数値
dmp1 -> OpenSSL::BN[permalink][rdoc]

鍵の exponent1 (d mod (p-1)) です。

秘密鍵の情報です。

dmp1=(new_dmp1)[permalink][rdoc]

鍵の exponent1 を設定します。

通常このメソッドで値を変更することはありません。 よく考えて必要な場合のみ利用してください。

[PARAM] new_dmp1:
設定する整数
dmq1 -> OpenSSL::BN[permalink][rdoc]

鍵の exponent2 (d mod (q-1)) です。

秘密鍵の情報です。

dmq1=(new_dmq1)[permalink][rdoc]

鍵の exponent2 を設定します。

通常このメソッドで値を変更することはありません。 よく考えて必要な場合のみ利用してください。

[PARAM] new_dmq1:
設定する整数
e -> OpenSSL::BN[permalink][rdoc]

鍵の public exponent を返します。

これは公開鍵の一部です。

e=(new_e)[permalink][rdoc]

鍵の public exponent を変更します。

通常このメソッドで値を変更することはありません。 よく考えて必要な場合のみ利用してください。

[PARAM] new_e:
設定する public exponent の整数値
export(cipher=nil, pass=nil) -> String[permalink][rdoc]
export(cipher=nil, pass=nil) {|flag| ... } -> String
to_pem(cipher=nil, pass=nil) -> String
to_pem(cipher=nil, pass=nil) {|flag| ... } -> String
to_s(cipher=nil, pass=nil) -> String
to_s(cipher=nil, pass=nil) {|flag| ... } -> String

鍵を PEM 形式で出力します。

cipher と pass が指定された場合、 秘密鍵を暗号 cipher OpenSSL::Cipher::Cipher とパスワード pass を使って暗号化します。

cipher を指定して pass を省略した場合は 渡されたブロックを呼びだしてパスフレーズを要求します。ブロックの返り値を パスフレーズとみなして暗号化します。 ブロックの引数は通常は true が渡されますが、 これはそのパスフレーズが秘密鍵の暗号化に使われることを意味します。 ブロックが渡されなかった場合にはターミナルに問い合わせをします。

公開鍵を出力する場合は cipher と pass は無視されます。

iqmp -> OpenSSL::BN[permalink][rdoc]

鍵の coefficient (inverse of q mod p) です。

秘密鍵の情報です。

iqmp=(new_iqmp)[permalink][rdoc]

鍵の coefficient を設定します。

通常このメソッドで値を変更することはありません。 よく考えて必要な場合のみ利用してください。

[PARAM] new_iqmp:
設定する整数値
n -> OpenSSL::BN[permalink][rdoc]

鍵の modulus です。

公開鍵、秘密鍵両方の一部です。

n=(new_n)[permalink][rdoc]

鍵の modules を設定します。

通常このメソッドで値を変更することはありません。 よく考えて必要な場合のみ利用してください。

[PARAM] new_n:
設定する整数値
p -> OpenSSL::BN[permalink][rdoc]

鍵の1つめの素数です。

秘密鍵の情報です。

p=(new_p)[permalink][rdoc]

鍵の1つめの素数を設定します。

通常このメソッドで値を変更することはありません。 よく考えて必要な場合のみ利用してください。

[PARAM] new_p:
設定する素数
params -> {String => OpenSSL::BN}[permalink][rdoc]

鍵のパラメータ(OpenSSL::PKey::RSA#e,OpenSSL::PKey::RSA#n, OpenSSL::PKey::RSA#dなど)を{パラメータ名文字列 => パラメータ値} というハッシュで返します。

鍵が公開鍵の場合、OpenSSL::PKey::RSA#d のように公開鍵が持っていない値は 0 になります。

private? -> bool[permalink][rdoc]

自身が秘密鍵を持っているかどうか判定します。

private_decrypt(str, mode = OpenSSL::PKey::RSA::PKCS1_PADDING) -> String[permalink][rdoc]

文字列 str を秘密鍵で復号化します。

復号化されたデータを文字列で返します。

mode でパディングモードを指定します。暗号化に利用した パディングモードと同じものを指定する必要があります。 以下の4つのうちいずれかが利用可能です。

[PARAM] str:
暗号化する文字列
[PARAM] mode:
パディングモード
[EXCEPTION] OpenSSL::PKey::RSAError:
復号化に失敗した場合に発生します。 公開鍵で復号しようとした場合、鍵が間違っていた場合、 暗号化に使ったパディングモードと異なるモードを使った 場合などに発生します。
private_encrypt(str, mode = OpenSSL::PKey::RSA::PKCS1_PADDING) -> String[permalink][rdoc]

文字列 str を秘密鍵で暗号化します。

暗号化されたデータを文字列で返します。

mode でパディングモードを指定します。以下のいずれかが利用可能です。

[PARAM] str:
暗号化する文字列
[PARAM] mode:
パディングモード
[EXCEPTION] OpenSSL::PKey::RSAError:
暗号化に失敗した場合に発生します。 自身が秘密鍵でない場合などに発生します。
public? -> bool[permalink][rdoc]

自身が公開鍵を持っているかどうか判定します。

public_decrypt(str, mode = OpenSSL::PKey::RSA::PKCS1_PADDING) -> String[permalink][rdoc]

文字列 str を公開鍵で復号化します。

復号化されたデータを文字列で返します。

mode でパディングモードを指定します。以下のいずれかが 利用可能です。暗号化に利用したパディングモードと同じものを 指定する必要があります。

[PARAM] str:
復号化する文字列
[PARAM] mode:
パディングモード
[EXCEPTION] OpenSSL::PKey::RSAError:
復号化に失敗した場合に発生します。
public_encrypt(str, mode = OpenSSL::PKey::RSA::PKCS1_PADDING) -> String[permalink][rdoc]

文字列 str を公開鍵で暗号化します。

暗号化されたデータを文字列で返します。

mode でパディングモードを指定します。以下の4つのうちいずれかが 利用可能です。

[PARAM] str:
暗号化する文字列
[PARAM] mode:
パディングモード
[EXCEPTION] OpenSSL::PKey::RSAError:
暗号化に失敗した場合に発生します。
public_key -> OpenSSL::PKey::RSA[permalink][rdoc]

公開鍵を複製して RSA オブジェクトとして返します。

q -> OpenSSL::BN[permalink][rdoc]

鍵の2つめの素数です。

秘密鍵の情報です。

q=(new_q)[permalink][rdoc]

鍵の2つめの素数を設定します。

通常このメソッドで値を変更することはありません。 よく考えて必要な場合のみ利用してください。

[PARAM] new_q:
設定する素数
to_der -> String[permalink][rdoc]

自身を DER 形式に変換します。

to_text -> String[permalink][rdoc]

鍵を人間が読める形式に変換します。

定数

NO_PADDING -> Integer[permalink][rdoc]

パディングをしないパディングモードです。

セキュリティ上の問題を引き起すため、基本的に使わないでください。

OpenSSL::PKey::RSA#public_encryptOpenSSL::PKey::RSA#public_decryptOpenSSL::PKey::RSA#private_encryptOpenSSL::PKey::RSA#private_decrypt の 第二引数に指定できます。

PKCS1_OAEP_PADDING -> Integer[permalink][rdoc]

PKCS #1 v2.0 で定義されているパディングモードです。

互換性に問題ない場合はこのモードを利用すべきです。

OpenSSL::PKey::RSA#public_encryptOpenSSL::PKey::RSA#private_decrypt の 第二引数に指定できるパディングモード。

PKCS1_PADDING -> Integer[permalink][rdoc]

PKCS #1 v1.5 で定義されているパディングモードです。

互換性目的以外での利用は推奨しません。

OpenSSL::PKey::RSA#public_encryptOpenSSL::PKey::RSA#public_decryptOpenSSL::PKey::RSA#private_encryptOpenSSL::PKey::RSA#private_decrypt の 第二引数に指定できます。

SSLV23_PADDING -> Integer[permalink][rdoc]

PKCS #1 v1.5 で定義されているものに SSL特有の変更を加えたパディングモードです。

互換性目的以外での利用は推奨しません。

OpenSSL::PKey::RSA#public_encryptOpenSSL::PKey::RSA#private_decrypt の 第二引数に指定できます。