class Zlib::ZStream

要約

圧縮データを扱うストリームを表す抽象クラスです。具体的な圧縮/展開の操作は、それぞれサブクラスの Zlib::Deflate, Zlib::Inflate で定義されています。

Zlib::ZStream オブジェクトは、ストリーム (struct zstream) の入力側 (next_in) と出力側 (next_out) にそれぞれ可変長のバッファを持ちます。以下、入力側のバッファを「入力バッファ」、出力側のバッファを「出力バッファ」と呼びます。

Zlib::ZStream オブジェクトに入力されたデータは、一旦入力バッファの末尾にストアされた後、ストリームからの出力がなくなるまで (処理後 avail_out > 0 となるまで) 入力バッファの先頭から順に処理されます。処理の間、出力バッファは全出力を保持するために必要に応じて自動的に確保・拡張されます。

いくつかのメソッドは、出力バッファ内のデータを取り出し、 String オブジェクトとして返します。

以上を図示すると次のようになります:

+================ an instance of Zlib::ZStream ================+
||                                                            ||
||     +--------+          +-------+          +--------+      ||
||  +--| output |<---------|zstream|<---------| input  |<--+  ||
||  |  | buffer |  next_out+-------+next_in   | buffer |   |  ||
||  |  +--------+                             +--------+   |  ||
||  |                                                      |  ||
+===|======================================================|===+
    |                                                      |
    v                                                      |
"output data"                                         "input data"

入力バッファの内容を処理している最中にエラーが発生した場合、 Zlib::Error のサブクラスの例外が発生します。その時、入力/出力バッファは共に、エラーが発生した時点の状態をそのまま保持します。

目次

特異メソッド
インスタンスメソッド

特異メソッド

new -> ()[permalink][rdoc]

直接使用しません。通常、具体的な圧縮/展開を行う場合は、 Zlib::Deflate.new もしくは、Zlib::Inflate.new を使用します。

[SEE_ALSO] Zlib::Deflate.new, Zlib::Inflate.new

インスタンスメソッド

adler -> Integer[permalink][rdoc]

adler-32 チェックサムを返します。

avail_in -> Integer[permalink][rdoc]

入力バッファに溜っているデータのバイト数を返します。通常は 0 です。

avail_out -> Integer[permalink][rdoc]

出力バッファの空き用量をバイト数で返します。空きは必要な時に動的に確保されるため、通常は 0 です。

avail_out=(size)[permalink][rdoc]

出力側のバッファに size バイトの空きを確保します。すでに size バイト以上の空きがある場合、バッファは縮められます。空きは必要な時に動的に確保されるため、通常このメソッドを使う必要はありません。

[PARAM] size:
出力バッファのサイズを整数で指定します。
[RETURN]
size を返します。
close -> nil[permalink][rdoc]
end -> nil

ストリームを閉じます。以後、このストリームにアクセスすることはできなくなります。

closed? -> bool[permalink][rdoc]
ended? -> bool

ストリームが閉じられている時に真を返します。

data_type -> Integer[permalink][rdoc]

ストリームに入力されたデータの形式を推測します。返り値は Zlib::BINARY, Zlib::ASCII, Zlib::UNKNOWN のいずれかです。

finish -> String[permalink][rdoc]

ストリームへの入力を終了し、出力バッファをフラッシュします。より具体的な振る舞いは Zlib::Deflate#finish, Zlib::Inflate#finish を参照して下さい。

[SEE_ALSO] Zlib::Deflate#finish,Zlib::Inflate#finish

finished? -> bool[permalink][rdoc]
stream_end? -> bool

ストリームへの入力が終了している時に真を返します。

flush_next_in -> String[permalink][rdoc]

入力バッファに残っているデータを強制的に取り出します。

flush_next_out -> String[permalink][rdoc]

出力バッファに残っているデータを強制的に取り出します。

reset -> nil[permalink][rdoc]

ストリームの状態をリセットします。入力/出力バッファ内に残っていたデータは破棄されます。

total_in -> Integer[permalink][rdoc]

ストリームに入力されたデータの総バイト数を返します。

total_out -> Integer[permalink][rdoc]

ストリームの出力したデータの総バイト数を返します。