Ruby 1.9.3 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > yamlライブラリ

library yaml

要約

構造化されたデータを表現するフォーマットであるYAML (YAML Ain't Markup Language) を扱うためのライブラリです。

例1: 構造化された配列

require 'yaml'

data = [ "Taro san", "Jiro san", "Saburo san"]
str_r = YAML.dump(data)

str_l =<<EOT
---
- Taro san
- Jiro san
- Saburo san
EOT

p str_r == str_l #=> true

例2: 構造化されたハッシュ

require 'yaml'
require 'date'

str_l =<<YAML_EOT
Tanaka Taro: { age: 35, birthday: 1970-01-01}
Suzuki Suneo: {
  age: 13,
  birthday: 1992-12-21
}
YAML_EOT

str_r = {}
str_r["Tanaka Taro"] = {
  "age" => 35,
  "birthday" => Date.new(1970, 1, 1)
}
str_r["Suzuki Suneo"] = {
  "age" => 13,
  "birthday" => Date.new(1992, 12, 21)
}

p str_r == YAML.load(str_l) #=> true

例3: 構造化されたログ

require 'yaml'
require 'stringio'

strio_r = StringIO.new(<<EOT
---
time: 2008-02-25 17:03:12 +09:00
target: YAML
version: 4
log: |
  例を加えた。
  アブストラクトを修正した。
---
time: 2008-02-24 17:00:35 +09:00
target: YAML
version: 3
log: |
  アブストラクトを書いた。

EOT
)

YAML.load_stream(strio_r).documents.sort{|a, b| a["version"] <=> b["version"]}.each{|obj|
  printf "version %d\ntime %s\ntarget:%s\n%s\n", obj["version"], obj["time"], obj["target"], obj["log"]
}

バックエンドの選択

yaml ライブラリでは、以下のライブラリをバックエンドとして使用します。

require "yaml" した場合、特に何もしなければ psych ライブラリを使用します。

デフォルト以外のバックエンドを使用したい場合、yaml ライブラリを require する前に psychsyck を require してください。

例1: psych を使用する場合

require "psych"
require "yaml"
YAML.load(...)

例2: syck を使用する場合

require "syck"
require "yaml"
YAML.load(...)

また、yaml を require した後でも、YAML::ENGINE.yamler に "psych" を代入する事で psych を使用できます。(syck の場 合も同様です)

require "yaml"
require "psych"
YAML::ENGINE.yamler = "psych"
YAML.load(...)

タグの指定

!ruby/sym :foo などのようにタグを指定することで、読み込み時に記述した値 の型を指定できます。

例:

require 'yaml'
p YAML.load(<<EOS)
---
!ruby/sym :foo
EOS
# => :foo

yaml では、Ruby 向けに以下のローカルタグを扱えます。

例:

require 'yaml'
p YAML.load(<<EOS)
---
array: !ruby/array [1, 2, 3]
hash: !ruby/hash {foo: 1, bar: 2}
regexp: !ruby/regexp /foo|bar/
range: !ruby/range 1..10
EOS
# => {"regexp"=>/foo|bar/, "hash"=>{"foo"=>1, "bar"=>2}, "array"=>[1, 2, 3], "range"=>1..10}

これらは tag:ruby.yaml.org,2002:array のように指定する事もできます。

例:

require 'yaml'
p YAML.load(<<EOS)
---
array: !tag:ruby.yaml.org,2002:array [1, 2, 3]
hash: !tag:ruby.yaml.org,2002:hash {foo: 1, bar: 2}
EOS
# => {"hash"=>{"foo"=>1, "bar"=>2}, "array"=>[1, 2, 3]}

自分で定義したクラスなどは !ruby/object:<クラス名> を指定します。なお、 読み込む場合には既にそのクラスが定義済みでないと読み込めません。

また、キーと値を指定する事でインスタンス変数を代入できます。

例1:

require 'yaml'

class Foo
  def initialize
    @bar = "test"
  end
end

p YAML.load(<<EOS)
---
!ruby/object:Foo
bar: "test.modified"
EOS
# => #<Foo:0xf743f754 @bar="test.modified">

例2:

require 'yaml'

module Foo
  class Bar
  end
end

p YAML.load(<<EOS)
---
!ruby/object:Foo::Bar
EOS
# => #<Foo::Bar:0xf73907b8>

また、YAML 形式に変換する際のタグを変更したい場合、to_yaml_type メソッ ドをオーバライドしてください。 (syck のみ)

例:

require "syck"
require "yaml"
class Foo
  def to_yaml_type
    return "!tag:example.com,2002:foo"
  end
end
p Foo.new.to_yaml # => "--- !example.com,2002/foo {}\n\n"

注意

無名クラスを YAML 形式に変換すると TypeError が発生します。また、 IOThread オブジェクトなどはインスタンス変数がオブジェク トの状態を保持していないため、変換はできますが、YAML.load した時に完全 に復元できない事に注意してください。

標準添付の yaml 関連ライブラリには以下のようなRuby 独自の拡張、制限があ ります。標準添付ライブラリ以外で yaml を扱うライブラリを使用する場合な どに注意してください。

参考

YAML Specification

YAML4R

Rubyist Magazine: http://magazine.rubyist.net/

その他

クラス

YAML::EngineManager

yaml のバックエンドを管理するクラスです。

モジュール

YAML

YAML (YAML Ain't Markup Language) を扱うモジュールです。

サブライブラリ

yaml/dbm

DBM の値に文字列以外も格納できるように拡張するためのサブライブラ リです。

yaml/store

RubyのオブジェクトをYAML形式の外部ファイルに格納するためのクラスです。